収録アルバム "Long Live Rock'n'Roll"(邦題:バビロンの城門)
今回ご紹介するのは、イギリスのハード・ロック・バンド、レインボーの3枚目のスタジオ・アルバム "Long Live Rock'n'Roll"(邦題:バビロンの城門)から "Kill The King"(邦題:キル・ザ・キング)です。
以前の記事では、レインボーのレビュー・アルバム "Ritchie Blackmore's Rainbow"(邦題:銀嶺の覇者)から "Man On The Silver Mountain"(邦題:銀嶺の覇者)をご紹介しました。
アルバム "Ritchie Blackmore's Rainbow" でデビューしたレインボーでしたが、リッチーはアルバム・リリース後に早速メンバー・チェンジを断行します。
キーボード、ベース、ドラムスを解雇し、ジェフ・ベック・グループでめきめきと頭角を現していたコージー・パウエル(ドラムス)、そしてトニー・カレイ(キーボード)、ジミー・ベイン(ベース)というメンバーを新たに迎え入れ、セカンド・アルバム "Rising"(邦題:虹を翔る覇者)を1976年にリリースします。
ここに、リッチー・ブラックモア(ギター)、ロニー・ジェームス・ディオ(ボーカル)、コージー・パウエル(ドラムス)という、ハード・ロック界最強のトライアングルが成立することになりました。
セカンド・アルバムのリリース後、リッチーはまたもやキーボードとベースを解雇し、ボブ・ディズリー(ベース)とデビッド・ストーン(キーボード)を新メンバーに加えて、1978年にサード・アルバム "Long Live Rock'n'Roll"(邦題:バビロンの城門)をリリースします。
ハード・ロック界最強のトライアングルと書きましたが、リッチー・ブラックモアの基本に忠実であるけれどもそれを遥かに超えたイマジネーション溢れるギター・プレイ、ロニー・ジェームス・ディオのパワフルかつドラマチックなボーカル、そしてコージー・パウエルの手数は決して多くはないのだけれども一発一発が非常に重い存在感あるドラミング、彼らのまさに「最強」という称号が相応しいコンビネーション・プレイをこのアルバムでは聴くことができます。
レインボーの音楽性(イコール、リッチー・ブラックモアの音楽性ですが)は、基本的にはイギリスの伝統的な様式美を重んじたハード・ロックであり、リッチー独自の視点からバロック音楽の構成を融合させたものである、と言えるでしょう。ただ、これは決して新しいスタイルというものではなく、そのためか、イギリスを始めとするヨーロッパや日本では大きな人気を博しましたが、最大の市場であるアメリカでは今ひとつ受け入れられていませんでした。これは、アルバムのチャート順位にも如実に表れています。
年 | NO | タイトル | 全英 | 日本 | 全米 |
---|---|---|---|---|---|
1975 | 1st | Ritchie Blackmore's Rainbow | 11位 | 26位 | 30位 |
1976 | 2nd | Rising | 11位 | 12位 | 48位 |
1977 | live | Rainbow On Stage | 6位 | 7位 | 65位 |
1978 | 3rd | Long Live Rock'n'Roll | 7位 | 9位 | 89位 |
この後、リッチーはアメリカのリスナーを意識したよりストレートで現代的なハード・ロックへの路線変更を主張するのですが、それが最強トライアングルに亀裂を生み、結果として大幅なメンバー・チェンジへと発展していってしまうことになります。
さて、今回ご紹介する "Kill The King" ですが、レインボーの十八番とも言うべき、強烈なドライブ感の爽快なハード・ロック・ナンバーです。
それを支えるのは、やはりコージー・パウエルのドラミングですね。ツインバスドラが正確なリズムと圧倒的なスピード感を生み、重く力強いパンチを左右から繰り出してきます。
そしてリッチーのギターです。ドライブ感に拍車をかける基本に忠実なバッキングもさることながら、やはり聴きどころはシンプルだけれども非常に「リッチーらしい」3音のアルペジオ的なリフですね。この少ない音数で曲のイメージをバシッと決めて、なおかつドライブ感、疾走感を演出するというのは、流石です。
ロニー・ジェームス・ディオのボーカルも素晴らしいです。高音域の声の伸びも素晴らしいのですが、低音域でドスを効かせるあたりも、表情があって見事ですね。
しかし。
この曲はぜひともライブで聴いてほしい!
ということで、1977年にリリースされた "Rainbow On Stage"(邦題:レイボウ・オン・ステージ)もご紹介しておきます。
レインボー・ファンにはお馴染みの「虹の彼方に」(オズの魔法使い)によるオープニング。「rainbow...rainbow...rainbow....」というエコーの中で突如大音量で始まる1曲目こそが "Kill The King" です。
正確にリズムを刻むコージーのドラムスであったり、少しでも音を外すことのないロニーのボーカルもさることながら、圧巻はリッチーのギター・プレイですね。
特にキーボードとのユニゾンから3度のハモリに移行していくリフが鳥肌モノでカッコいいです!
ぜひ、大音量でお聴きいただきたいですね!
ということで、このブログもやっと100記事達成となりました。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
これからも名曲をたくさんご紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。