収録アルバム "Nielsen/Pearson & Blind Luck"
今回は、アメリカのロック・デュオ、ニールセン/ピアソンの2枚目のアルバム "Nielsen/Pearson" から全米TOP40のヒット曲、"If You Should Sail"(邦題:イフ・ユー・シュッド・セイル)をご紹介します。
ニールセン/ピアソンは、ギター、ピアノ担当のリード・ニールセンとギター担当のマーク・ピアソンから成るプロジェクトです。
この二人が中心となり、ベースとドラムスを加えた4人編成で "The Neilsen Pearson Band" として1978年にデビューしました。
デビュー・アルバム "The Neilsen Pearson Band" をリリースした後、再びニールセンとピアソンの2人に戻ってしまい、以降はセッション・ミュージシャンのサポートを得て、1980年にセカンド・アルバム "Neilsen/Pearson"、1983年にはサード・アルバム "Blind Luck" をリリースします。
ジャンルとしてはAOR/ウェストコースト・サウンドに分類されることが多いようですが、セールス的には大きな成功を得ることができず、日本での知名度もかなり低くて「知る人ぞ知る」的な存在になってしまっています。
ところが、アルバムの完成度は驚くほど高く、曲も演奏も(よく比較される)他の著名なAORのアルバムと比べても、少しも遜色はありません。
現在CDとして入手できるのが、セカンド・アルバムとサード・アルバムが2in1のセットとなった "Neilsen/Pearson & Blind Luck" となりますので、今回はこの中のセカンド・アルバム "Neilsen/Pearson" と収録曲についてご紹介していきたいと思います。
セカンド・アルバムですが、「AOR」と一言で括られると、ちょっと違和感がありますね。
ジャズ、フュージョン、クロスオーバー、ソウル、ファンクなどの実に幅広い音楽のエッセンスを柔軟に取り込んだ結果として、想定外のアレンジやコード進行など、AORの特徴である「予定調和の美しさ」の枠組みに捕らわれない素晴らしいサウンドを聴くことができます。
加えて、ひとつひとつの楽器の音が非常にクリアで、あまり湿気を感じさせない「サラリ」とした印象を受けるところなど、AORと言うよりは、むしろスティーリー・ダンのサウンドに近さを感じます。
今回ご紹介する "If You Should Sail" ですが、全米38位というスマッシュ・ヒットを記録した、彼らの中での代表曲になります。
曲調としては(このアルバムの中では)素直で聴きやすい、鉄板のウェストコースト・サウンドという感じです。
少ない音数でしっかりとノリを演出するのは、ドラムス=ヴィニー・カリウタとベース=ニール・スチューベンハウスの超強力リズム陣ならでは。リード・ニールセンのピアノのバッキングがまたソウルフルで、マイケル・マクドナルドを連想させますね。
バックのギターのカッティングといい、イントロ、間奏のフリューゲル・ホルンといい、それぞれの楽器の音がクリアでバランスが良く、非常に清々しい爽やかな名曲ではないかと思います。
ニールセン/ピアソン、もっと評価されてもいいのでは、と思いますが、いかがでしょうか。
次回は、同じくニールセン/ピアソンのサード・アルバム "Blind Luck" の中から素晴らしい一曲をご紹介したいと思います。