収録アルバム "Frampton Comes Alive!"(邦題:フランプトン・カムズ・アライブ!)
今回は、イギリスのギタリスト、ピーター・フランプトンのライブ・アルバム "Frampton Comes Alive!"(邦題:フランプトン・カムズ・アライブ!) からのシングル・カットで世界的に大ヒットした "Show Me The Way"(邦題:ショウ・ミー・ザ・ウェイ) をご紹介します。
1950年にイギリス・ロンドンで生まれたピーター・フランプトンは学生の頃からギター小僧でしたが、1969年、19歳の時にスティーブ・マリオットとともに後にスーパー・グループとしてロック界に大きな足跡を残すことになる「ハンブル・パイ」を結成し、ミュージシャンとしての活動をスタートさせます。
しかし、マリオット主導のバンドの音楽性に不満を感じ始めたフランプトンは、1972年にバンドを脱退し、自らのバンド「フランプトンズ・キャメル」を結成する傍ら、スタジオ・ミュージシャンとしてジョージ・ハリスンらのアルバム制作に参加して、ギタリストとしての腕を磨いていきました。
1974年頃から精力的にツアーを行って徐々にそのファンを増やしていくのですが、その地道な努力が実を結んだのが、1976年にリリースした "Franmpton Comes Alive!" でした。
フランプトンの美少年的な外観もプラスに作用して、このアルバムは全米で1位を獲得、全世界で1000万枚以上を売り上げる大ヒットとなり、フランプトンのギタリストとしての地位を確固たるものにすることに成功したのでした。
このライブ・アルバムの商業的な成功により、他のロック・バンド達もこぞってライブ・アルバムを発表するようになり、ライブ・アルバムの一大ブームが起こることになります。
フランプトンのサウンドの特徴はというと、ハードなギター・サウンドを乗せたイギリスの正統派ポップ・ロックというところです。湿気をあまり感じさせない、どこか爽やかでカラリとした感じは、アメリカのウェスト・コースト・ロックにも通じるものがあるのですが、フランプトンのボーカルが(美少年的な容姿からはちょっと想像できない)男臭い「ダミ声」で、ハードなギターとボーカルによって骨太なロックのテイストを感じることができます。
今回ご紹介する "Show Me The Way" は、アルバムからのシングル・カットで全米6位を記録した大ヒット曲で、同様に爽やかなポップ・ロックなのですが、特筆すべきは、トーキング・モジュレーターを駆使したギター・サウンドを聴けることでしょう。
トーキング・モジュレーターとは、楽器の音に人が喋っているようなイントネーションを加えることができるエフェクターの一種です。
原理としては、ギターやシンセサイザー等の楽器の音を、専用のスピーカーからビニール・チューブなどを通して演奏者の口の中に響いて共鳴させ、ボーカル用のマイクでその音を拾うというものです。
口の中に直接大きな音が流れるため、あまり使い過ぎると脳がイカレてしまうというような噂もありましたが、医学的には証明されていません。
下の動画を見ていただけると良くわかりますが、マイク・スタンドにビニール・チューブが巻き付いており、ギター・ソロなどの時はそのチューブを加えて口を動かして、マイクで音を拾っています。
トーキング・モジュレーターの使い手のギタリストとしては、ピーター・フランプトンを始めとして、ロジャー・トラウトマン、ジェフ・ベック、ジョー・ウォルシュ、リッチー・サンボラ などが挙げられるでしょう。
なかでも、 "Show Me The Way" と並んで大ヒットした曲には、ボン・ジョビの "Livin' On A Prayer" があります。イントロのトーキング・モジュレーターを使ったリフが、非常に印象的ですね。
下の動画を見ると、ボーカル用のマイクとトーキング・モジュレーター用のマイクの2本のマイク・スタンドが立っているのがわかります。
ピーター・フランプトンでもう一つ忘れてはいけないのは、トレード・マークにもなったギブソンのギターですね。
ブラック・トップにトリプル・ハムバッキング・ピックアップを搭載したギブソン・レスポールは、当時「フランプトン・モデル」として発売されるほどの人気を博しました。
黒のレスポール(のコピー・モデル)とトーキング・モジュレーターを買って、フランプトンのコピーに勤しんだギター小僧たちも多かったのではないでしょうか。
ちなみに、シンセサイザーを使ったトーキング・モジュレーターのサウンドは、こちらの曲で聴くことができます。
■ Let's Groove (Earth,Wind & Fire)
■ 24K Magic (Bruno Mars)
いかがでしたでしょうか。
"Frampton Comes Alive!" では、他の曲でもトーキング・モジュレーターを使っており、堪能できること間違いなしです。
遠い昔のギター小僧だった頃に連れ戻してくれるようなサウンドを、ぜひ聴いてみていただければと思います。