収録アルバム "Toulouse Street"
今回から2回に渡って、アメリカのロック・バンド、ドゥービー・ブラザーズの曲をご紹介したいと思います。
ドゥービー・ブラザーズは、1971年にアルバム "The Doobie Brothers" でデビューします。デビュー当時のバンド構成は、
■ トム・ジョンストン(ギター、ボーカル)
■ パトリック・シモンズ(ギター、ボーカル)
■ デイブ・ショグレン(ベース)
■ ジョン・ハートマン(ドラムス)
という4人編成で、カントリー、フォークの色濃い楽曲や武骨なハード・ロック・サウンドを盛り込んだデビュー・アルバムだったのですが、一般的にはあまり受け入れられませんでした。
デビュー・アルバムのリリース後、バンドに2人目のドラマー、マイケル・ホサックが加入します。ここで、その後のバンドのトレードマークとなる、ツイン・ギター、ツイン・ドラムスの体勢ができあがったのでした。
(セカンド・アルバム作成中にベースはタイラン・ポーターに交代。)
1972年にはセカンド・アルバム "Toulouse Street"(邦題:トゥールーズ・ストリート)をリリースします。このアルバムからシングル・カットされた "Listen To The Music" は全米11位のヒットとなり、アルバム自体も全米21位と大健闘、バンドは一躍脚光を浴びるようになりました。
1973年にはサード・アルバム "The Captain And Me"(邦題:キャプテン・アンド・ミー)をリリースします。このアルバムからは、"Long Train Runnin'"が全米8位、"China Grove" が全米15位というヒットが生まれ、アルバムも全米7位を記録します。
翌1974年には4枚目のアルバム "What Were Once Vices Are Now Habits"(邦題:ドゥービー天国)がリリースされ、シングル・カットされた "Black Water" はついに全米1位の大ヒット、アルバムも全米4位を記録するなど、ここに来てドゥービーはイーグルスと並んでアメリカン・ロックを代表する人気バンドになったのです。
ドゥービー・ブラザーズのサウンドの特徴ですが、ひとつは「ギター・ロック」であることですね。カッティング、裏メロ、ソロと曲調に合わせて様々な奏法が詰め込まれていて、非常に印象に残るサウンドに仕上げられています。そしてもうひとつが、二人のドラマーと黒人ベーシストによる他に類を見ない強力なリズム・セクションです。このリズム隊から生み出される力強いファンキーなビートが、ギターの見事なカッティングと相まって、独特なリズム感、スピード感を楽曲に与えています。
かと言って、力技でグイグイ押してくるだけのバンドかと言うと、そうではありません。コーラス・ワークに代表される非常に緻密で繊細な部分も持ち合わせていて、その繊細さがあったからこそ、後のマイケル・マクドナルド加入後に訪れる音楽性の変化に非常に高いレベルで対応できたのではないかと思います。
(このあたりは次回に詳しく書いていく予定です。)
今回ご紹介する "Listen To The Music" は上でも書きましたようにバンドの初期を代表するヒット曲です。美しいギターのカッティングから始まるこの曲は、少し肩の力を抜いたようなリラックス感がとても気持ちがいいですね。全編通して流れるギターの濁りのない音色、サビでの美しいコーラス・ワーク、2番からのブリッジでのエフェクティブなアレンジなど、聴き所が満載の名曲です。
ドゥービー・ブラザーズはメンバーの変遷が非常に激しいバンドで、4枚目のアルバムのリリース後には、これまで度々ゲスト参加していたギタリストのジェフ・バクスターが正式加入してトリプル・ギター編成となります。
その後、バンドの顔であったトム・ジョンストンが健康上の理由でバンドから一時離れることになり、その代役として加入したのがマイケル・マクドナルドです。
マイケルの加入により、音楽性が大きく変わっていくのですが、そのあたりはまた次回に譲ろうかと思います。