収録アルバム "4"
今回は前回に引き続きフォリナーの名曲を、3枚目、4枚目のアルバムからご紹介したいと思います。
1977年にアルバム "Foreigner" でデビューしたフォリナーですが、デビュー・アルバムは全米アルバムチャートの4位を記録するヒットとなり、これ以上ない滑り出しを見せました。続く1978年リリースの2ndアルバム "Double Vision" は前作を上回る全米3位を記録する大ヒットとなり、名実ともに「スーパーグループ」として全米ロック界の頂点に君臨するようになったのです。
2枚のアルバムが商業的には大成功を収めたフォリナーですが、ここで、ベーシストのエド・ガリアルディが音楽性の違いにより脱退し、新たにリック・ウィリスが加入します。
1979年には、プロデューサーにロイ・トーマス・ベイカー(クイーンのアルバムのプロデュースで有名)を迎えて、3rdアルバム "Head Games" をリリースします。このアルバムも全米5位という安定したセールスを維持したのですが、シングルのヒット曲は
"Dirty White Boy"(全米14位)
"Head Games"(全米12位)
と、やや停滞してしまいました。
1980年には次作の制作準備に取り掛かるのですが、ここでバンド内での音楽性の相違、主導権をめぐる争いが表面化し、バンド創設メンバーのイアン・マクドナルド、アル・グリーンウッドが脱退してしまい、残された4人で活動を継続していくことになります。
メンバー脱退後、4人となったバンドは、1981年に4枚目のアルバム "4" をリリースするのですが、これが空前絶後の大ヒットを記録することとなりました。
全米のアルバムチャートでは10週連続1位を記録、シングルカットされた作品は
"Juke Box Hero"(全米3位)
"Night Life"(全米14位)
"Urgent"(全米1位)
"Waiting For A Girl Like You"(全米1位)
"Break It Up"(全米26位)
"Luanne"(全米75位)
と6曲にものぼり、そのうち2曲が全米1位を記録するなど、商業的にはこれまでにない大きな成功をバンドにもたらすこととなりました。
サウンド的には、デビュー当時のストレートなロック・テイストはやや陰を潜めて、よりハードにはなってきているものの、アレンジにシンセサイザーを多様して、ポップでAOR的なアプローチの曲調も増えてきています。
特に、"Waiting For A Girl Like You" はロック色を排除した至極のバラードの名曲で、この曲が大ヒットを記録してしまったばかりに、バンド内でこのままバラードを中心とした路線でいくのか、デビュー当時のシンプルなロックに回帰するのかという意見の対立を生んでしまい、このアルバム "4" を頂点としてバンドの勢いも衰退していってしまう結果となったのでした。
それでは、3枚目、4枚目のアルバムの名曲をご紹介していきましょう。
3rdアルバム "Head Games"
"Head Games"
イントロのきらびやかさとは対照的に、ルー・グラムのボーカルが切々と訴えかけてくる、心を打つミドルテンポのロック。
4thアルバム "4"
"Night Life"
アルバムのトップを飾る、ノリのいいポップ・ロック。夜の都会のネオンの光の中で、汗まみれで遊ぶ若者達が目に浮かびます。
"Juke Box Hero"
一転して、デビュー当時を彷彿とさせる、湿っぽさが満載のロック。ミック・ジョーンズはあまりギターソロを弾かない人なんですが、この曲では頑張ってます。
"Waining For A Girl Like You"
シンセサイザーをメインとしたバックのアレンジが素晴らしい、バラードの名曲。ルー・グラムの泣きのボーカルも最高です。
"Urgent"
ちょっと気だるいギターから始まる、フォリナーにしては珍しくアンニュイな雰囲気の曲。Saxがいい味出してます。
商業ロックの代表格みたいな取り扱いもされてしまうフォリナーですが、ここまでご紹介してきたアルバムでは、一曲一曲がロックの魂に基づいてしっかり作られていて、完成度の高い作品ばかりです。
ぜひ、耳を傾けてみていただけたら、と思います。