収録アルバム "Synchronicity"
今回は1970年代後半から1980年代半ばにかけて活躍したイギリスのロック・バンド、ポリスの5枚目のスタジオ・アルバムから"Synchronicity I" をご紹介します。
1977年に結成されたポリスは、翌年にアルバム "Outlandos d'Amour"(放題:アウトランドス・ダム-ル)にてデビューします。
このアルバムからは、"Roxanne"、"Can't Stand Losing You" といった曲がヒットし、今後の活躍を予感させるデビューとなったのでした。
1979年には2枚目のアルバム "Reggatta de Blanc"(邦題:白いレガッタ)をリリース、イギリスのアルバム・チャートでは4週連続1位というヒットを記録します。このアルバムからは "Message in a Bottle"(邦題:孤独のメッセージ)が世界的なヒットとなり、一躍ポリスの名を全世界に知らしめる結果となりました。
1980、1981年にはアルバム "Zenyatta Mondatta"(邦題:ゼニヤッタ・モンダッタ)、"Ghost in the Machine"を相次いでリリースし、特に "Zenyatta Mondatta" からは "Don't Stand So Close to Me"(邦題:高校教師)や "De Do Do Do, De Da Da Da"(邦題:ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ)がシングル・カットされ大ヒットを記録するなど、着実に結果を残していきます。
そして1983年、アルバム "Synchoronicity"(邦題:シンクロニシティ)をリリース、これが全米アルバムチャートで17週連続1位というビッグ・ヒットを記録し、先行シングルの "Every Breath You Take"(邦題:見つめていたい)も全米8週連続1位というポリスの最大のヒット曲となるなどして、バンドとしての絶頂期を迎えたのでした。
ポリスのサウンドの特徴は、ロックという枠組みの中に収まりきれない、多種多様な音楽性が各楽曲に凝縮されているところにあります。
イギリスでのパンク・ロック全盛期のデビューではあるのですが、その風潮に染まるのを良しとせず、逆にロックの楽曲にレゲエのエッセンスを加えるという斬新なサウンドで、しばしば「ホワイト・レゲエ」と称されていました。2枚目のアルバムの "Reggatta de Blanc" は、"White Reggae" を意味しています。
その後もニュー・ウェーブ、ジャズ、ボサノバ、民族音楽といった実に幅広い音楽の要素を抽出し、自らの楽曲の中に無理なく自然に融合させることにより、他のバンドには真似のできないポリス独自の世界観を具現化させることに成功しています。
"Synchronicity I" は、5枚目のアルバムの冒頭を飾るハイテンポなナンバーです。
4/4拍子+2/4拍子という変則的3拍子の曲ですが、無理のない華麗な疾走感を感じることができ、ポリスというバンドの優れた才能の一端を垣間見ることのできる、素晴らしい曲です。無機質なキーボードのアルペジオに絡んでくる人間臭い情熱的なボーカルがとても印象敵ですね。
このアルバムからの大ヒットとなった "Every Breath You Take" は、一転してミディアムテンポの柔らかく暖かな美しい曲です。
この2曲だけでもこのアルバムを聴く価値があるというものです。
ぜひ一度、ポリスの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。