収録アルバム "Ritchie Blackmore's Rainbow"(邦題:銀嶺の覇者)
私が高校生の頃、リアルタイムでディープ・パープルにハマっていました。他のギター小僧と同様に、ストラトキャスターにBOSSのディストーションをつないで、"ハイウェイ・スター"のギター・ソロや、"スモーク・オン・ザ・ウォーター"のイントロを一生懸命コピーしたものです。
ディープ・パープルが解散してしまった後は、メンバー達が新たに結成したバンドを追っかけました。ホワイトスネイクだったり、イアン・ギラン・バンドだったり、そして、今日ご紹介するレインボーだったり。
前フリが長くなりましたが、今日は Ritchie Blackmore's Rainbow の "Man On The Silver Mountain"(邦題:銀嶺の覇者)をご紹介します。
1974年、当時既に世界的な人気を得ていたイギリスのハード・ロック・バンド、ディープ・パープルですが、音楽的な対立が原因で、ギタリストのリッチー・ブラックモアは、バンドを脱退します。そして、当時交流のあった「エルフ」というバンドを吸収する形で新しいバンドを結成し、「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」と名づけ、1975年に同名のアルバムでデビューします。
(バンド名は、後に「レインボー」へと変わります。)
バンドの音楽スタイルとしては、8ビートを基調としたリズム隊にギターのリフがからみ、ハモンド・オルガンがバッキングで支えるという典型的なブリティッシュ・ハード・ロックで、それはディープ・パープル時代からの踏襲とも言えます。
ただ、他のハード・ロック・バンドと一線を画すのは、バロック音楽の構成、コード進行、フレーズを随所に取り入れている点で、これは、リッチー・ブラックモアの音楽的成長背景に起因するものと思われます。
レインボーの魅力と言えば、やはりリッチー・ブラックモアのギターが第一でしょう。ライブでの破天荒なパフォーマンスとは裏腹に、スタジオ録音盤では実に基本に忠実に、かつ全体のバランスを熟慮しているのがわかります。出るべき所では前に出て、退くべき所ではしっかりとバッキングに徹するという、教科書のようなプレイは、ギター小僧にとっての最高の教材です。
レインボーの魅力はそれだけに留まらず、ロニー・ジェームス・ディオのボーカルを推す声も非常に多いです。確かに、ハード・ロック界のボーカリストではNO.1と言っても過言ではないでしょう。中音域から高音域にかけての声の伸びが素晴らしく、パワフルな声量の持ち主なのですが、ただ大声を張り上げるだけではなく、表情豊かに「歌い上げる」という表現が適切な、並外れた歌唱力の偉大なボーカリストです。
アルバムのトップを飾る "Man On The Silver Mountain" ですが、直球勝負の1曲で、新しいバンドでのスタートに際しての、リッチーの「ブリティッシュ・ハード・ロックの王道を突き進む」という信念がヒシヒシと感じられます。
バンドはこの後、コージー・パウエルというハード・ロック界最強のドラマーを迎え入れ、さらに王道を突き進むかと思われたのですが、メンバー・チェンジを重ねて、音楽性も(市場を意識して)変化していってしまいます。
そういう意味では、このアルバムは貴重な1枚と言えるかも知れません。
ぜひ、「王道」を体感していただけたら、と思います。