70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

構成力の素晴らしさに耳を奪われるプログレッシブ・ロックの名曲! GENESYS "Firth Of Fifth" (1973)



収録アルバム:Selling England By The Pound(邦題:月影の騎士)


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今回は、1970~80年代のプログレッシブ・ロックの全盛期を支えたイギリスのバンド、ジェネシスの5枚目のスタジオ・アルバム "Selling England By The Pound"(邦題:月影の騎士)に収録されている名曲、"Firth Of Fifth"(邦題:ファース・オブ・フィフス)をご紹介します。

 

以前には、ジェネシスの7枚目のスタジオ・アルバム "A Trick Of The Tail"(邦題:トリック・オブ・ザ・テイル)から、"Dance On A Volcano"(邦題:ダンス・オン・ア・ボルケーノ)をご紹介しました。

 

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ジェネシスは、1967年にイングランド南東部にあるサリー州のパブリック・スクールで結成されたバンドが母体となっています。そのときのメンバーは、

・ピーター・ガブリエル(Vo)

・アンソニー・フィリップス(Guit)

・トニー・バンクス(Key)

・マイク・ラザフォード(Bass)

・クリス・スチュアート(Drums)

という顔ぶれでした。

 

バンドは幸運にもプロデューサーのジョナサン・キングに見出され、1969年にアルバム "From Genesys To Revelation"(邦題:創世記)でデビューします。

しかし、当時アメリカに同じ名前のバンドが既に存在したことからバンド名をクレジットしなかったことや、当時の流行だったビージーズを意識して音楽性がブレてしまったことなどもあり、大きな話題とはなりませんでした。

 

その後バンドは、音楽性の方向をアート・ロックに固定し、1970年には2枚目のアルバム "Trespass"(邦題:侵入)をリリースします。

ここで音楽性の違いなどからメンバーの交代が行われ、スティーブ・ハケット(Guit)、フィル・コリンズ(Drums)が新たにバンドに加わることになります。

 

それまでバンドのサウンド面はアンソニー・フィリップスの資質による部分が大きかったのですが、新たに加わった2名がバンドの音楽性を大きく変えていきました。

1971年には3枚目のアルバムとなる "Nursely Cryme"(邦題:怪奇骨董音楽箱)をリリースするのですが、このアルバムをもって、プログレッシブ・ロック・バンドとしての評価を固めることとなり、さらにはピーター・ガブリエルの演劇性に溢れたシアトリカルなステージ・パフォーマンスも話題となり、イタリアなどのヨーロッパ各国で大きな人気を得るようになります。

 

1972年には4枚目のアルバム "Foxtrot"(邦題:フォックストロット)、翌1973年には5枚目のアルバム "Selling England By The Pound"(邦題:月影の騎士)という話題作を立て続けにリリースします。

特に「月影の騎士」はイギリス本国のアルバム・チャートでは3位(全米アルバム・チャートでは70位)を記録する大ヒットとなりました。

 

さて、今回ご紹介するアルバム "Selling England By The Pound"(邦題:月影の騎士)ですが、バンドがここまでの過程で築き上げてきたプログレッシブ・ロックのサウンドや世界観というものを十分に堪能できる名盤となっています。

ただ、前作まで大きく作品に反映されてきたピーター・ガブリエルの劇場性、メッセージ性というものが、今作ではやや抑えられているような印象で、全体的にはソフトでメロウな、ファンタスティックな仕上がりになってると言えるのではないでしょうか。

 

今日ご紹介する "Firth Of Fifth"(邦題:ファース・オブ・フィフス)ですが、一曲の中で統一的な世界観(テーマ)を壊すことなく、静と動のコントラストを見事に表現した、構成力に富んだ名曲と言えましょう。

イントロはピアノのクラシカルでアーティスティックな独創で始まります。

その後に続くボーカル・パートは、ピーター・ガブリエルの静と動の表現力が素晴らしいのですが、その後に現れる間奏の名演が、ボーカル・パートさえも霞んでしまうほどの素晴らしい仕上がりです。

まずはフルートのソフトで美しい音色が響き渡ります。そこからバトンを引き継いだアコースティック・ピアノのクラシカルでメロディアスな演奏が徐々にテンションを上げて行き、次にバトンを受け継いだブラス系シンセサイザーが大きく「動」を演出して盛り上げたかと思うと、最後にバトンを受けたエフェクティブで空間の広がりを感じさせるギターが、一旦はグッとテンションを下げてからの、終盤へ向かって大きくドラマティックに展開させていきます。

統一的な世界観(テーマ)を失うことなく、メイン・パートを各楽器で引き継ぎながら静と動のコントラストを描いていく構成力は、もう見事というほかはありません。

 

この素晴らしい構成の楽曲は、ライブ演奏において最大の真価を発揮するのは間違いありません。

ぜひ、ライブ・アルバム "Seconds Out"(邦題:眩惑のスーパー・ライブ)の "Firth Of Fifth" もお聞きいただきたいです。



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イントロのピアノ・ソロが削られていきなりボーカル・パートから始まるところ、間奏のフルートの旋律がギターになっているところあたりはスタジオ盤とは異なりますが、その他はほぼ忠実に演奏されています。

間奏でのメイン・パートのバトンの引継ぎも見事に再現されており、それにさらに空間的な広がりが「増し増し」になっているのはライブならでは!

さらに、間奏後半のギター・ソロではフィル・コリンズもスティックを握ってツイン・ドラムになるパートは最高の盛り上がりで鳥肌モノの緊張感に涙が出そうになりますね!

 

プログレッシブ・ロック全盛期に生まれた構成力ハンパない名曲を、ぜひご堪能ください。 

 

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