70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

美術館で何枚もの絵画を見るようなドラマチックな展開の名曲! Renaissance "Ashes Are Burning" (1973)



収録アルバム "Ashes Are Burning"(邦題:燃ゆる灰)


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今回は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、ルネッサンスが1973年にリリースした4枚目のアルバム "Ashes Are Burning"(邦題:燃ゆる灰)から、タイトル・チューンの "Ashes Are Burning"(邦題:燃ゆる灰)をご紹介します。


ルネッサンスは、イギリスの伝説的ロック・バンド「ヤードバーズ」の解散後、そのメンバーであったキース・レルフ(Vo、Guit)とジム・マッカーティ(Dr)を中心にして、1969年に結成されました。

「ヤードバーズ」がブルース主体の音楽性であったのに対して、ルネッサンスはフォーク・ロックにクラシックをミックスしたようなサウンドでスタートしています。

同年、デビュー・アルバムとなる "Renaissance"(邦題:ルネッサンス)をリリースし、翌1970年には2枚目のアルバム "Illusion"(邦題:幻想のルネッサンス)をリリースします。


しかし、徐々にバンドは活動が停滞して解散状態に陥ってしまうのですが、その中で、2枚目のアルバム制作時にゲスト・ミュージシャンとして参加したマイケル・ダンフォード(Guit)がバンドを引き継ぎ、アニー・ハズラム(Vo)を始めとする新たなメンバーを集めて、新生「ルネッサンス」としてバンドを再興しました。

※通常「ルネッサンス」という場合には、このメンバー・チェンジ後のバンドを指すようです。初代メンバーによるバンドは、これと区別するために「オリジナル・ルネッサンス」と呼ばれています。

 

フォーク調のポップ・ロックにクラシックのエッセンスを巧みに取り入れたサウンドで、新生ルネッサンスは1972年に3枚目のアルバム "Prologue"(邦題:プロローグ)をリリースします。

ヒプノシスによるなんとも不思議なオブジェの印象的なジャケットの効果もあり、まずまずの評価を得ると、バンドは1973年に4枚目のアルバム "Ashes Are Burning"(邦題:燃ゆる灰)をリリースします。

 

さて、そのアルバム "Ashes Are Burning" ですが、アコースティック・ギターをメインとしたシンプルなフォーク・ロック調のサウンドをタイトなリズム・セクションがしっかりと支えており、そこにクラシカルな気品あるピアノが華を添えるという、清楚で気高くも躍動感に溢れた素晴らしい作品に仕上がっています。

そして忘れてはならないのが、アニー・ハズラムの透き通るようなクリスタル・ボイスです。この歌声が新生ルネッサンスの全てである、と言っても過言ではないでしょう。
高音から低音までの幅広い音域をカバーするその歌声は、適度な柔らかさもあり、優しく包み込むシルクのガウンのようなボイスに心を奪われたファンの方も多いのではないでしょうか。

 

今日ご紹介する楽曲 "Ashes Are Buring"(邦題:燃ゆる灰)ですが、11分を超えるちょっとした大作になっています。演奏時間が長いと、ともすると聴いていて飽きてしまうこともあるのですが、この曲の場合は、美術館の中で絵画を順番に観ていくような感じで曲調が変化していくので、最後まで耳を背けることができません。

風の音のようなSEで曲はスタートします。ドラムの一定間隔のシンバルがフェード・インして、それに導かれるように美しいピアノの旋律が流れ出し、静かに押さえめにボーカル・パートが始まります。

アニー・ハズラムの透き通るようなハイ・トーン・ボイスと、男性の低音コーラス、そして音数の多いベースのフレーズとの対比が非常に美しいパートになっています。

サビが終わると、アコースティック・ギターの短いストロークを挟んで、スキャット・パートに移行します。そしてピアノ・ソロが終わると、曲調は一転して、ベースの激しいフレーズから一気にアップ・テンポのロック調パートに変わっていきます。ピアノのジャジーなバッキングに絡むハープシコードのクラシカルなフレーズが、これぞクラシカル・ロック!という印象ですね。

ベースのフレーズがピアノとのユニゾンで奏でられた途端、曲調は一変してグッと押さえめになります。ハモンド・オルガンのソロのバックで流れるドラムのマーチング風のスネアがいい味出してます。

徐々にテンションも上がりつつ、ピアノのソロで最高潮に達したあたりで、ピタッとすべての楽器が止まり、静かなオルガンのロング・トーンだけが響き渡ります。

再びアニー・ハズラムの美声ソロ・パートとなり、最後のハイ・トーンを合図にリズム・セクションが演奏を再開させ、エレクトリック・ギターのソロ・パートへ移行します。ちなみにこのギター・ソロは、「ウィッシュボーン・アッシュ」のアンディ・パウエルの客演です。

エキセントリックで熱いギターが長いソロを奏でますが、次第に曲はフェード・アウトしていき、やがて終幕を迎えます。

 

重厚なアレンジと言う訳ではなく、むしろ楽器の構成はシンプルであると思うのですが、ピアノをメインとして、オルガン、ハープシコード、ギター、ドラム、ベースといったその他の楽器が決して前に出過ぎることなく、的確に自己の役割を果たして、その場その場の雰囲気を見事に作り上げている名曲だと思います。

そして、アニー・ハズラムですね。柔らかで透き通るような美声は、バックの演奏に何の違和感もなく溶け込み、かつ推しつけがましくない存在感を感じさせます。

クラシカルなプログレッシブ・ロックの名曲を、ぜひ一度、お聴きいただければと思います。

 

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