70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

バンドの過渡期に生まれた、素朴でストレートな中にも洗練さが垣間見れるロックの名曲! Jefferson Starship "Jane" (1979)



収録アルバム "Freedom At Point Zero"(邦題:フリーダム・ポイント・ゼロ)


amazonでこのアルバムをチェックする

 

今回は、アメリカのロック・バンド、ジェファーソン・スターシップが1979年にリリースしたアルバム "Freedom At Point Zero"(邦題:フリーダム・ポイント・ゼロ)のリード・ナンバー、"Jane"(邦題:ジェーン)をご紹介します。


ジェファーソン・スターシップほど、バンド名とメンバーを変遷しながら長い期間に渡って活動を続けたバンドも珍しいのではないでしょうか。

そういう意味では、今回ご紹介するジェファーソン・スターシップも、その変遷の過程でのある一つの形態と言うことができるでしょう。

 

その母体というのは、1966年にマーティ・バリン(Vo、Guit)とポール・カントナー(Vo、Guit)を中心に結成されたジェファーソン・エアプレインに遡ります。
当初は、R&B色の強い、サイケ調のフォーク・ロックを得意とするバンドとしてスタートしました。

1967年には、強烈な個性とカリスマ性を持つ女性ボーカリスト、グレイス・スリックが加入することにより、バンドの躍進に拍車がかかります。サウンドは次第にヘビーになっていき、グレイスの強力な歌声を押し出した楽曲やマーティ、ポールの3人とボーカルが絡み合うスリリングな楽曲などで1960年代後半の音楽シーンを席巻する結果となりました。


ですが、バンド内での音楽性の違いによる軋轢が顕著になり、1971年にバンド創設者のマーティが脱退、それに釣られるようにバンドの人気にも陰りが見え始め、1972年にはバンドは遂に解散となってしまいました。

 

ここでちょっとした小休止を挟んで、1974年にはポールとグレイスがバンドを復活させ、ジェファーソン・スターシップという新たな名前のもとに活動をスタートさせることになります。

ほどなくしてマーティもバンドに復帰し、マーティ/ポール/グレイスの卓越したコーラス・ワークを武器にバンドは再び躍進を開始し、1970年代後半には数々のヒット曲もリリースし、見事にトップ・バンドとしての地位の奪還に成功しました。

 

しかし、1978年には深刻なドラッグ中毒によりバンドの顔とも言えるグレイス・スリックが一時的な脱退を余儀なくされてしまいます。

このバンドの危機に際し、ポールはよりハードでヘビーな路線への方向転換を打ち出して行こうと試みますが、これを良しとしないマーティが再びバンドを離脱することになり、バンドはいよいよ深刻な状態に陥ってしまいます。


バンドは後任のボーカリストとしてミッキー・トーマスの加入を決めますが、パワフルなハイトーン・ボイスを操るこのボーカリストの起用は、バンドが新たに志向するハードでヘビーなサウンドにジャスト・フィットし、このメンバーで1979年にリリースした今回ご紹介のアルバム "Freedom At Point Zero"(邦題:フリーダム・ポイント・ゼロ)は全米10位というヒットとなりました。

 

ただ、このヒットによりバンドは「産業ロック路線になった」という古くからのファンの反発を買い、さらに混迷を深めていくことになるのです。

 

さて、今回ご紹介するアルバム "Freedom At Point Zero" ですが、先に少し述べたように、ストレートでハードなポップ・ロックというサウンドになっています。
ご存知のように、バンドは1980年代に入りスターシップとして生まれ変り、"Sara"(邦題:セーラ)を始めとする全米NO.1ヒット曲を世に送り出して大成功を収めるのですが、この成功のベースとなる部分が "Freedom At Point Zero" に見られると言っても過言ではないでしょう。


確かにハードでポップな産業ロック志向は感じられるのですが、まだそれほど洗練されておらず、荒々しい素朴なロックンロールの面影が十分に残ったサウンドからは、ミッキー・トーマスのボーカルの効果もあって、(スターシップには感じられない)パワフルでエネルギッシュな印象を強く感じることができます。


そのアルバム "Freedom At Point Zero" のリード・ナンバーとなる "Jane"(邦題:ジェーン)ですが、シングル・カットされて全米14位までランクを駆け上がりました。
ギターの静かなフレーズから始まり、リズム・セクションが入って一旦ブレイクした後に続く、ピアノの八分音符打ちとそれに絡むオーバー・ドライブの効いたギターの低音のリフは、TOTOを筆頭とする1980年代西海岸ロックではおなじみのパターンと言えますね。

ただ、全体的にはギターのサウンドといいフレーズといい、より素朴でストレートで、(悪い意味でなく)垢抜けていない感じが逆に新鮮な印象を受けます。
しかし、ボーカルに関しては、ミッキーのハイトーンを活かしたストレートで力強いボーカルとそれに絡むコーラスが計算されて良く練られた感じがしますね。


古くからの素朴な部分と、新しい洗練された部分が見事に融合されたサウンドが、この曲の最大の特徴であり、このアルバム全体を通しての特徴と言ってもいいかも知れません。


スターシップとしての大成功を語る上で、そのサウンドのベースを垣間見れる貴重なアルバムに仕上がっていると言えるでしょう。もちろん、聴き応えも十分で、アルバムとしての完成度も高い作品です。

ぜひ一度、お聴きいただければと思います。

 

スターシップの "We Built This City"(邦題:シスコはロック・シティ)を取り上げたこちらの記事も、ぜひご覧ください。
www.ogirock2519.xyz