70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

重厚でドラマティック、熱い想いを感じるエレクトロ・ポップの名曲! Tears for Fears "Shout" (1985)



収録アルバム "Songs From The Big Chair"(邦題:シャウト)


amazonでこのアルバムをチェックする


今回は、今もなお活動を続けているイギリスのロック・バンド、ティアーズ・フォー・フィアーズが1985年にリリースしたセカンド・アルバム、"Songs From The Big Chair"(邦題:シャウト)からの大ヒット曲、"Shout"(邦題:シャウト)をご紹介します。


イギリスのバースにて、ローランド・オーザバル、カート・スミスという二人の13歳の少年が出会い、一緒に音楽活動を始めるようになったことが、ティアーズ・フォー・フィアーズの母体となりました。
ともに両親が離婚をしたという共通項で結ばれた二人ですが、残された子供達の悲痛、悲嘆といったものが、後のバンドの音楽性に大きく影響を及ぼすことになります。

ローランドはギターとボーカル、カートはベースとボーカルを担当し、二人でいくつかのバンドを渡り歩きましたが、やがて二人が本当にやりたい音楽を求めて、ティアーズ・フォー・フィアーズの名称で活動を始めることになります。

ほどなくしてフォノグラムと契約することになり、1981年にシングル "Suffer The Children"(邦題:悩める子供達)でデビューを飾ります。ヒットこそしませんでしたが、イギリス国内で注目を集めることに成功し、その後の3枚目のシングル "Mad World"(邦題:狂気の世界)がイギリスで大ヒットとなりました。

続けて "Change"(邦題:チェンジ)、"Pale Shelter"(邦題:ペイル・シェルター)とヒット・シングルをリリースし、1983年にはこれらのヒット曲を収録したアルバム "The Hurting"(邦題:ザ・ハーィング) をリリースすると、全英で1位となる大ヒットを記録しました。

しかし、次のシングル "The Way You Are"(邦題:ザ・ウェイ・ユー・アー)はヒットには結びつかず、休息の必要を感じた二人は、新たなアイデア作りの時間を取るために少しの間音楽シーンから離れることを選択します。

約1年のブランクの後の1984年、新しいTFT(Tears For Fears)サウンドの完成を確信した二人は、満を持してシングル"Shout"(邦題:シャウト)をリリースします。

MTVにおけるビデオ・クリップのヘビー・ローテの甲斐もあり、"Shout"は全米1位(全英2位)のビッグ・ヒットとなりました。
続いてリリースした "Rule The World"(邦題:ルール・ザ・ワールド)は全米、全英ともに1位を記録し、"Head Over Heels"(邦題:ヘッド・オーバー・ヒールズ)は全米3位(全英12位)となり、これらを収録したアルバム "Songs From The Big Chair"(邦題:シャウト)は全米1位、全英2位となる大ヒットを記録、リリース後の約8ヶ月もの間トップ10にランク・インするほどのロング・セラーとなりました。


ティアーズ・フォー・フィアーズのサウンドの分類としては、当時の流行であった打ち込み系のリズム・セクションを主体としたエレクトロ・ポップに属するかと思いますが、同系統のバンドと比較しても、非常に重厚でドラマティックな音作りであったり、シリアスかつ社会的で深淵な歌詞で歌われているあたりは、他と一線を画すような印象を受けます。

 

今回ご紹介するアルバム "Songs From The Big Chair" ですが、その打ち込み系のサウンドが主体になっているものの、一本調子の感じはなく、逆にサックスや様々なパーカッションを大胆に導入して重厚かつエキセントリックな楽曲があるかと思えば、グッと押さえめのジャジーなバラードがあったりと、非常にバラエティに富んだ飽きの来ない
作品に仕上がっています。

二人のボーカルも聴き所ですね。重厚なサウンドに負けない骨太な歌声であったり、バラードで聴かせる繊細で透き通るような歌声であったり、それぞれの楽曲の世界を最大限に表現しているボーカルが素晴らしいです。

 

重厚でドラマティックな作品という意味では、ビッグ・ヒットのリード・ナンバー、"Shout" がアルバムの中でも一番かと思います。

テンション押さえめに始まる曲の前半部では、リード・ボーカルに絡んでくる管楽器のような音色のシンセのオブリガードが非常に印象的ですね。

そのシンセのソロ・パートを挟んでスタートする後半部は、徐々にテンションも上がっていき、重いタムのリフを繰り返すリズム・セクションや、リード・ボーカルに負けじと存在感を示す裏メロのボーカルがこれでもかと曲を盛り上げていきます。

そんな中で繰り返される「Shout」という非常に短い歌詞が、聴く者の心に大きな爪痕を残すような強烈なインパクトを与えてくれます。

不遇な少年時代を過ごしてきた若者の、負のエネルギーが大きなパワーに昇華した瞬間を感じ取れるような作品に思われますね。

 

心が揺さぶられるような熱い想い、強いメッセージを感じる名曲だと思います。
ぜひ一度、お聴きいただければと思います。

 

amazonでTears For Fearsの他の作品を見る