70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

オーストラリア発!優しく耳に馴染むシンフォニック・プログレの名曲! Sebastian Hardie "Four Moments" (1975)



収録アルバム "Four Moments"(邦題:哀愁の南十字星)


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今回は、オーストラリア出身のプログレッシブ・ロック・バンド、セバスチャン・ハーディーの1975年リリースのデビュー・アルバム、"Four Moments"(邦題:哀愁の南十字星)から、リード・ナンバーであり小組曲形式の "Four Moments"(邦題:フォー・モーメンツ)をご紹介します。

 

オーストラリアの叙情派プログレッシブ・バンドの第一人者である(と言うよりは、唯一の著名な、と言っても過言ではない)セバスチャン・ハーディーですが、その母体の誕生は1967年にまで遡ります。

当初はセバスチャン・ハーディー・ブルーズ・バンドと名乗り、その名の通りに当時ロック界を席巻していた白人系のブルース・ロックを演奏していたバンドでした。
その後、バンド名をセバスチャン・ハーディーとしますが、しばらくの間は商業的な成功に恵まれず、解散とメンバー・チェンジ、再結成を繰り返すことになります。

 

1970年代に入って、イエスやEL&Pに触発されてバンドのサウンドはプログレッシブ・ロックに傾倒していくのですが、1973年にギタリスト、ボーカリストであるマリオ・ミーロの加入により、より壮大で様式美に満ちたプログレッシブ・ロックを追求する道を進み始めるのですが、結果としてバンドの音楽性は飛躍的に進化を遂げることとなりました。


バンドは3枚のシングルをリリースした後、1975年に念願のデビュー・アルバム "Four Moments"(邦題:哀愁の南十字星)をリリースするのですが、これが熱心なプログレ・ファンから大きな注目を集めることとなり、セバスチャン・ハーディーの名を世に知らしめる結果となりました。

アルバムからは "Rosanna"(邦題:ロザンナ)がシングル・カットされ、インストルメンタル曲ではあるものの、オーストラリア国内で大ヒットを記録し、プログレ・ファンのみならず、一般大衆にも広く認知されることになったのでした。


アルバム "Four Moments" ですが、シンセサイザー、メロトロンといったキーボードが重厚な構成を効かせるシンフォニックなサウンドをバックに、マリオ・ミーロのメロディアスな泣きのギターが響き渡るという、緻密さとスケールの大きさを併せ持った壮大なプログレッシブ・ロックを展開しています。

 

透明感、爽快感があるのですが、(マリオ・ミーロの泣きのギターに代表される)適度な湿っぽさもあるあたりが、プログレの本場、欧州のサウンドとは少し異質な印象を受けます。日本人には割と受け入れられやすいサウンドなのではないかと思いますね。

 

今回ご紹介する曲 "Four Moments" は、4曲の小曲から構成される組曲となっています。
特に、1曲め "Glories Shall Be Released" の冒頭から流れるメロトロン主体の重厚で雄大なメイン・テーマが非常に印象的ですね。音数の少ないシンプルなフレーズですが、逆にそれだからこそ強く印象に残るようにキーボード、リズム・セクションのアレンジが施されており、緻密な計算の高さを感じることができます。

このメイン・フレーズは、組曲を通して随所に登場します。時には壮大、雄大に、時にはアコースティック・ギターとともに静寂の中で、時にはボーカルを乗せて、というように、様々なパターンで繰り返すことにより、組曲の統一された世界観を構築するのに大きな効果を挙げていると言えるでしょう。

 

シンフォニックではあるけれども過剰すぎることはなく、ドタバタしてなく、非常に高貴で清楚で上品な、しかしどこか少し湿っぽく、という独特なサウンド・センスは、決して押しつけがましくなく優しく耳に馴染んでジンワリと聴く者の身体に染み込んでいくのではないでしょうか。


ぜひ一度、オーストラリア唯一の叙情派プログレッシブ・ロックの名盤をお聴きくださいませ。

 

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