70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

曲の構成が「もう一つの顔」を表現している、米ポップ/ロック界重鎮の大ヒット曲! Billy Joel "The Stranger" (1977)



収録アルバム "The Stranger"(邦題:ストレンジャー)


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今回は、アメリカのポップ/ロック界の重鎮であるビリー・ジョエルが1977年にリリースした5枚目のアルバム、"The Stranger"(邦題:ストレンジャー)から、日本でも大ヒットした "The Stranger"(邦題:ストレンジャー)をご紹介します。

 

ビリー・ジョエルは1949年にアメリカのニューヨークで生まれました。
幼少の頃から父親の影響でピアノを習い始めたビリーですが、高校時代からバンド活動を行ったり、バーでピアニストとして働き、音楽の素養を深めていきます。

地道な活動の成果として、1971年(22歳)でソロ・デビューをするチャンスに恵まれました。アルバム "Cold Spring Harbor"(邦題:コールド・スプリング・ハーバー~ピアノの詩人)をリリースします。
が、最高位は全米158位と、商業的には失敗と言ってもいい結果となってしまいました。

 

その後はビリー・マーティンという芸名を使ってロサンゼルスやサンフランシスコでピアノの弾き語りをして生活することを余儀なくされてしまいますが、この時のライブ音源が地元のFM局でオンエアされ、評判となります。

その結果、1973年にコロンビア・レコードと新たな契約を交わし、同年アルバム "Piano Man"(邦題:ピアノ・マン)で再デビューを果たすこととなりました。

弾き語りで生計を立てていた頃のことを歌った "Piano Man"(邦題:ピアノ・マン)は同アルバムからの第一弾シングルとしてリリースされ、全米25位に達するヒットとなりました。続いて "Ain't No Crime"(邦題:悪くはないさ)、"Travelin' Prayer"(邦題:流れ者の祈り)もシングル・カットされて、結果としてアルバム自身も全米27位のヒットとなり、一躍ビリー・ジョエルの名を全米に知らしめることとなったのです。

 

1974年には3枚目のアルバム "Streetlife Serenade"(邦題:ストリ-トライフ・セレナーデ)、1976年には4枚目のアルバム "Turnstiles"(邦題:ニューヨーク物語)をリリースしますが、どちらもセールス的には大きな成果を上げるところまでは行かず、もどかしい日々が続くことになってしまいます。

 

ところが、1977年にリリースした5枚目のアルバム "The Stranger"(邦題:ストレンジャー)がそれまでの成果を大きく上回るビッグ・ヒットとなります。

この成功を導き出したのは、シングル・カットされて全米3位の大ヒットとなった "Just The Way You Are"(邦題:素顔のままで)でしょう。美しいメロディ・ラインとサックスのソロが印象的なこのバラードは、ビリーの30年に及ぶキャリアの中でも最大のヒットとなったのでした。


そして、忘れてはならないのが、大ヒット曲 "The Stranger"(邦題:ストレンジャー)です。とは言っても、アメリカではシングル・カットされておらず、日本、ニュージーランド、オランダ、オーストラリアでのみシングルとしてリリースされたのですが、中でも日本では(CMやドラマで起用されたこともあって)大人気となり、オリコンチャートの2位にまで達する大ヒットを記録しました。


さて、このアルバム "The Stranger" ですが、ビリーのソング・ライティングの才能とボーカリストとしての技量、そしてフィル・ラモーン(ボブ・ディランやサイモン&ガーファンクルとの仕事が有名)のプロデュース力が結実した、最高傑作とも言える素晴らしい作品に仕上がっています。

私の勝手なイメージですが、ニューヨークという街を1枚のアルバムで表すのであれば、この "The Stranger" がベストなのではないかと思っています。アルバムを通して根底に流れる、(例え明るい曲調であっても)大都会の持つ孤独感、悲哀感というものが強く心を揺さぶり、ビリーの静かな(時にエキセントリックな)ボーカルから耳を背けることができません。

※もう40年も前の作品なので、今となってはかなり違っているのかも知れませんが・・・。

 

アルバムのラスト、"Everybody Has A Dream" のエンディングがフェード・アウトしていった後で、"The Stranger" のピアノと口笛が流れてくる演出は、言葉もありません。鳥肌モノですね。

 

さて、日本でも大ヒットとなった楽曲 "The Stranger" ですが、哀愁に満ちた厳かなピアノのソロで静かにスタートします。そして、ピアノのメロディをなぞるように入ってくる物悲しい口笛の響き。

一転、ややエキセントリックなギターのリフが合図のようにリズム・セクションもスタートし、一気にアップ・テンポな曲に変貌します。

ビリーのボーカルは、人が心の中に持っている誰にも見せたことのないもう一つの顔(= The Stranger)をテーマに切々と歌い上げ、それがフェード・アウトしていく中で、曲の冒頭で流れたピアノと口笛の悲し気なフレーズがリフレインして、そして静かに消えていくのです。

この曲の構成そのものが、曲のテーマである「もう一つの顔」を表現しているところが見事ですね。

ピアノと口笛の悲し気で厳かな表情が表の顔であるならば、エキセントリックなギターが導く感情が溢れ出るような表情が「もう一つの顔」なのでしょうか。

 

アルバム自体の完成度はとても素晴らしいのですが、何と言ってもリード・ナンバーの "Movin' Out"(邦題:ムーヴィン・アウト)から2曲目の "The Stranger"、そして3曲目の "Just The Way You Are" へと続く名曲三連発は、今聴いても古臭くなく、逆に今だからこそ、聴く者の心にジーンと染み渡ること間違いありません。

ぜひ一度、お聴きください。

 

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