70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

AOR隆盛期にひっそりとリリースされた隠れた名曲! Maxus "Part Of You" (1981)



収録アルバム "Maxsus"(邦題:マクサス/デビュー!!)


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今回は、1981年にLAのスタジオ・ミュージシャンで結成されたバンド、マクサスがリリースした唯一のアルバム "Maxus"(邦題:マクサス/デビュー!!)から、"Part Of You"(邦題:パート・オブ・ユー)をご紹介します。


1970年代末から1980年代にかけて、アメリカ西海岸のスタジオ・ミュージシャン達がバンドを結成したり、アルバムをリリースしたりして大きな盛り上がりを見せていました。

ボズ・スキャッグスのバック・ミュージシャン達が結成したTOTOデビッド・フォスターとジェイ・グレイドンが結成したAIRPLAYなどが多くの人が知るところですが、このマクサスもその中の一つです。

 

ジェイ・グラスカ(K、Vo)が中心となり、

・マイケル・ランドウ(G)
・ロビー・ブキャナン(K)
・マーク・レナード(B)
・ドーン・ペリー(D)

というメンバーで結成されたマクサスですが、1981年にデビュー・アルバム "Maxus" をリリースします。


チャート・インこそならなかったものの、実力派ミュージシャンによるスーパー・バンドのアルバムという評判に違わず、個々のプレイやアレンジ、演出は一部のファンからは熱烈な支持を受け、強烈な印象を残しましたのですが、残念ながら、マクサスとしてのアルバムはこの1枚のみで、リリース後は再びスタジオ・ミュージシャンとしての活動にそれぞれが戻っていきました。

 

特にマイケル・ランドウについては、このアルバムでの卓越したギター・プレイが非常に大きな注目を集め、以降セッション・プレイヤーとしてピンク・フロイド、ロッド・スチュワート、ジェームス・テイラーなどの大物ミュージシャンの作品に起用されるような人気ミュージシャンとなりました。

 

マイケル・ランドウについてもう少し触れておくと、1958年にLAで生まれ、ジミ・ヘンドリックスやレッド・ツェッペリンを聴いて育ちました。高校時代に学内で結成されたバンドに参加するのですが、そこには一学年上の先輩にTOTOのギタリストとしても名高いスティーブ・ルカサーが所属しており、それ以前にはジェフ・ポーカロやデビッド・ペイチも参加しており、当時から腕の立つミュージシャンに囲まれて、自身のギター・テクニックを磨いていったようです。


高校卒業後、すぐにプロのセッション・ギタリストとしての活動を始め、スティーブ・ルカサーの後任としてボズ・スキャッグスのバンドに参加していた時に、ジェイ・グラスカからの誘いを受けてマクサスに加入することになりました。

 

さて、そのマクサスのサウンドですが、TOTOやAIRPLAYといった1980年代にアメリカ西海岸のミュージシャンが創り出したサウンド(いわゆるAORロック)と同じカテゴリーに所属するサウンドと言えるでしょう。


具体的には、メリハリの効いたノリの良いリズム・セクション、オーバードライヴのかかった(ただし、あまり出しゃばりすぎない)ギター、シンセサイザー、ピアノを中心に計算されたアンサンブルを演出する煌びやかなキーボードが特徴的ですね。

 

今日ご紹介するアルバム "Maxus" ですが、まさにこのようなサウンドで構成されています。
ただ、メロディ・ラインの美しさとアレンジの捻り方というのが、ちょっとスティーリー・ダンあたりが入っているような、単なる西海岸サウンドではない独特の雰囲気を醸し出しています。
もちろん、マイケル・ランドウのギターの聴きどころは随所にありますね。骨太オーバー・ドライブで弾きまくるソロからノーマルなサウンドでの繊細なバッキングまで、ツボを押さえたプレイは流石です。特にソロ・パートは、骨太サウンドではあるのだけれでも、流れるようなフレージングは水面を滑るかのように滑らかで、スティーブ・ルカサーが「世界で5本の指に入る」と評したマイケル・ランドウの面目躍如たる演奏を聴くことができます。

 

今日ご紹介する "Part Of You" は、アコースティック・ピアノをメインとした非常に美しく繊細なバラードです。

ハイトーンのコーラスに誘導されるように展開するサビが聴きどころで、ドラムの入り方などはもう定番のパターンと言えそうですが、予期せぬ転調が来るあたり、捻りが効いていて、薄っぺらいバラードを脱した作品になっています。

間奏のギター・ソロは短く抑えめですが、絹のような滑らかなフレーズとサウンドにはウットリしてしまいますね。


このアルバムには、この曲の他にも "Keep A Light On"(邦題:灯りを消さないで)という2曲のバラードが収録されていますが、どちらも素晴らしい曲です。ボズ・スキャッグスの "Harbor Lights"(邦題:ハーバー・ライト)あたりを彷彿とさせるような、可憐で繊細な名曲ですね。

 

1980年代、アメリカ西海岸/AORロックの隆盛期にちょっと埋もれてしまった感のあるバンド、マクサスですが、アルバムの完成度は高く、セッション・ミュージシャンの職人芸を堪能できる仕上がりになっています。

ぜひ一度、お聴きください。