70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

バラードの王道を行く珠玉の一曲! Styx "Babe" (1979)



収録アルバム "Cornerstone"(邦題:コーナーストーン)


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今回は、アメリカのロック・バンド、スティクスが1979年にリリースしたアルバム "Cornerstone"(邦題:コーナーストーン)から、全米No.1ヒットの珠玉のバラード、"Babe"(邦題:ベイブ)をご紹介します。

 

以前の記事では、1982年リリースの "Paradise Theater"(邦題:パラダイス・シアター)に収録されている全米3位のヒット曲、"The Best Of Times"(邦題:ザ・ベスト・オブ・タイムズ)をご紹介しました。

 

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スティクスは1963年、チャック(Bass)、ジョン(Drums)のパノッツォ兄弟とデニス・デ・ヤング(Vo/Key)が中心となって結成されました。

その後、ジョン・クルリュウスキ(Guitar)、ジェイムス・ヤング(Guitar)が加入し、1972年にアルバム "Styx"(邦題:スティクス)でデビューします。

 

当初はガッツリとプログレッシブ・ロック路線を進んでおり、コアなプログレ・ファンの支持は集めていたのですが、1974年リリースの3枚目のアルバム "The Serpent Is Rinsing"(邦題:サーペント・イズ・ライジング)あたりからより広く大衆に受け入れられるハード・ポップの路線に転換していきます。

 

同年の4thアルバム "Man Of Miracles"(邦題:ミラクルズ)、1975年には5thアルバム "Equinox"(邦題:分岐点)と同様の路線で順調にアルバム・リリースを続けていく中で、2ndアルバムに収録されていた "Lady"(邦題:憧れのレイディ)がジワジワとチャートを上昇し、最終的には全米6位の大ヒットとなりました。

 

しかし、ここでジョン・クルリュウスキが志向する音楽性の違いから脱退を表明、バンドは新しいギタリストにトミー・ショウを迎え入れます

このメンバー・チェンジがバンドにとっての大きな転機となりました。

トミーのハード/ポップのフィーリングはバンドの音楽性と見事にマッチし、1976年リリースの6thアルバム "Crystal Ball"(邦題:クリスタル・ボール)を経て、1977年リリースの7thアルバム "Grand Illusion"(邦題:グランド・イリュージョン~大いなる幻影)全米6位というヒットとなり、スティクスは一躍トップ・バンドの仲間入りを果たすこととなりました。

 

トミーのロック・センスに溢れたソング・ライターとしての能力、そしてボーカリストとしての歌唱力=トミーとデニス・デ・ヤングというリード・ボーカルの二枚看板がバンドの躍進に大いに貢献したと言えるでしょう。

 

1978年リリースの8thアルバム "Pieces Of Eight"(ピーシズ・オブ・エイト~古代への追想)からはトミーの作による "Renegade"(全米16位)、"Blue Color Man"(全米21位)というヒットが生まれます。


そして1979年にリリースした9thアルバム "Cornerstone"(邦題:コーナーストーン)全米2位という大ヒット・アルバムとなり、シングル・カットされた "Babe"(邦題:ベイブ)は結果的にはバンドとして唯一の全米1位を獲得するほどの大ヒットとなりました。

この "Cornerstone"、そして続く1982年リリースの "Paradise Theater" がこのバンドの最高傑作であり、バンドも絶頂期であったと言っても過言ではないでしょう。

 

今回ご紹介するアルバム "Cornerstone" ですが、それまでの路線を継承し、アメリカン・ロックを基調にして多様な音楽性、特にプログレッシブ・ロックの抒情的なリリカルなエッセンス、劇場的なドラマチックな展開が随所に色濃く滲み出るような楽曲を多く収録しています。それがスティクスを他のロック・バンドと一線を画すアイデンティティであるとも言えると思います。

 

"Lights"、"Why Me" などの軽めのポップ・ロックの中にも構成で一捻りしてくる楽曲あり、"Borrowed Time"、"Eddie" といったハードなロックあり、 "Babe"、"First Time" といった王道を行くバラードあり、アコースティックの名曲 "Boat On The River" もあり、と、実にバラエティに富んだ構成で聴く側を飽きさせません。

なおかつ、一曲一曲が丹念に作られていて完成度が高く、スティクスの代表作と言うよりはロックの歴史に名を遺す名盤とも言える、素晴らしい仕上がりになっています。

 

"Paradise Theater" と比較してどちらが良いのか、というのはファンの間でも意見が分かれるところですね。

"Paradise Theater" は産業ロック(売れ線)に走り過ぎていて・・・という意見はよく聞きますが、"The Best Of Times" に代表されるように、どの楽曲もメンバーの才能とセンスに裏付けされた素晴らしいものがあると思います。

この "Paradise Theater" と比較すると、"Cornerstone" はバラエティに富んでいる分、方向性がやや散漫な感じがするのは否めないところですね。バンドが志向する方向が掴みにくいと言いますか。

(もっとも、"Paradise Theater" はコンセプト・アルバムなので、方向性が明確なのは当然と言えば当然ですね。)


まあ、これは個人の好みの問題なので無理に結論を出そうとは思いませんが、いずれにしても、どちらのアルバムもスティクスというバンドの類稀なる音楽センスが発揮された素晴らしい作品であるということは間違いないと思います。

 

さて、今回ご紹介する曲 "Babe" ですが、全米1位獲得も納得の素晴らしいバラードです。

イントロのローズ・ピアノのサウンドから、もうため息が出てしまいます。サスティーンの効いた独特の丸みを帯びたコロコロとした音色がなんと美しいことでしょう。

デニス・デ・ヤングのハリのあるボーカルも、男の哀愁をヒシヒシと感じさせてくれます。

リズム・セクションの入り方やコーラス・パート、間奏のギター・ソロなどは、ど直球ですね。何の変化もない、王道まっしぐらのアレンジですが、それが逆に心を打ちますね。

意外と効果抜群なのが、ボーカルのバックに流れるストリングスのロング・トーンです。シンプルで音数の極端に少ないラインですが、それがボーカルとよく絡んで、美しいアンサンブルとなっています。

 

王道を行く珠玉のバラードの名曲を、ぜひじっくりとお聴きいただきたいと思います。

また、"Cornerstone" と "Paradise Theater" の2枚のアルバムの聴き比べも、楽しいのではないでしょうか。

 

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