70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

アジアが世界に誇るジャズ/フュージョン界の歌姫の最高傑作! Marlene "It's Magic" (1983)



収録アルバム "It's Magic"(邦題:マジック)


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今回は、フィリピン出身のフュージョン/ジャズ・シンガーであるマリーンのアルバム "It's Magic"(邦題:マジック)から、タイトル・チューンの "It's Magic"(邦題:マジック)をご紹介します。

 

これが洋楽かと言われると微妙なところではあるのですが、ぜひご紹介させていただきたく。


フィリピンのマニラで6人兄弟の長女として生まれたマリーンですが、幼少の頃よりその歌唱力は飛び抜けたものがあり、14歳の時にはアマチュア・コンテストで優勝し、翌年、15歳で歌手デビューを果たしています。

18歳の時に初来日し、翌年から日本での芸能活動を開始しました。当初はアイドル歌手として売り出され、日本語で歌ったシングル盤も4枚リリースしています。曲調はディスコ/ニューミュージック系だったのですが、イギリスのジャズ系シンガーの大御所、シャーリー・バッシーに憧れていたマリーンにとっては、歌謡曲路線はあまり本人の意にそぐわないものだったようで、昼はアイドルとして活動しているのですが、夜になるとジャズ系のクラブで歌うという、二足のワラジの生活が2年ほど続きました

 

しかし、その後ライブを観たフュージョン・バンド「ザ・スクエア」(現T-SQUARE)のギタリスト、安藤まさひろ氏に見出されて、CBSソニーから初アルバム「ファースト・ラヴのように」が1981年にリリースされ、ジャズ/フュージョン系のシンガーとして本人も納得のいく形での新しい活動が始まりました

 

今回ご紹介するアルバム "It's Magic" は、1983年にリリースされた5枚目のアルバムになります。

オリコンのアルバム・チャートでは最高5位を記録し、ジャズ/フュージョン系、英語で歌われたアルバムとしては異例の快挙でした。

 

井上鑑(Key)、安藤まさひろ(G)、土方隆行(G)、北島健二(G)、村上秀一(D)、青山純(D)といった錚々たるメンバーがバックを務め、アレンジでは、「マライア」「NAZCA」といった通好みのバンドで活躍し、のちにプリンセス・プリンセスやスピッツ、コブコロといった著名ミュージシャンのアレンジを数多く手掛けることになる、日本音楽界の実力派、笹路正徳氏がその力を余すことなく発揮し、素晴らしい作品に仕上げています。

アルバムの曲調としては、ジャズ/フュージョントと言うよりは、むしろポップ/ロック的な仕上がりで、変に重苦しいところのない非常に聴きやすい作品です。もちろん、マリーンの歌唱力、表現力が十分に堪能できることは言うまでもありません。

 

今回ご紹介する曲 "It's Magic" ですが、ギターのキレのあるカッティングとバスドラ、チョッパー・ベースの創り出すタイトなリズムのイントロから始まる、安藤まさひろ氏によるマリーンのオリジナルです。

マリーンのボーカルはやや抑えめのスタートですが、サビに向けて徐々に盛り上がりを見せ、サビ前のリズムがピタッとブレイクした時の表情が実に美しくて鳥肌モノです。

ロック系ボーカルのやや硬質なサウンドで音程をキッチリ取りながら歌い上げるのとは違い、ジャズ畑で磨いた表現力なのでしょうか、音程を微妙に上下させながら柔らかなサウンドで表情を創っていくマリーンのボーカルは、実に耳に優しく、スーッと体の中に染み込んでいくような心地よさを感じます。

間奏でのブラスとストリングスの絡みは、それまでとはまた違った味付けで聴く側を楽しませてくれます。ここでも80年代に隆盛を極めたフュージョン系チョッパー・ベースが大活躍で、ファンにとっては嬉しい限り。

マリーンの卓越したボーカルと、バックを務める実力派ミュージシャンの創り上げた最高傑作と言えるでしょう。

 

このアルバムには、他にも特筆すべき楽曲が収められていますので、少しご紹介します。

 

■ Calling Out To Love

オーバードライブのかかったギターのリフと煌びやかなシンセのアレンジが、BOSTON、JOURNEYあたりの80年代アメリカン・ロック・サウンドを連想させるような、マリーンにしては意外なほどロックな選曲です。

しかし、このような少しハードめな曲でも難なく歌いこなしてしまうボーカルは素晴らしいの一言。

間奏での三連へのリズム・シフトがカッコイイ!

洋楽のどこかのバンドのカバーではないかと思うのですが、どうしても思い出せない・・・。ご存知の方がいましたら、教えていただきたいです。

 

■ ESP

イントロからブラスとピアノのアレンジがちょっとジャジーな雰囲気を醸し出す、なんとも心地の良いポップな曲です。こちらは笹路正徳氏の作曲によるマリーンのオリジナルですね。このあたりの曲調はマリーンの独壇場という感じで、コーラス隊とともに楽しそうに歌い上げているようなサビが最高です。


このほかにも、ポインターシスターズの "I'm So Excited" や、ボズ・スキャッグスの "We're All Alone"、バーブラ・ストライザンドの "Woman In Love" などのカバーも収録されており、マリーンの卓越した歌唱力を十分に堪能できる名盤に仕上がっています。

優しい歌声に癒されたいなーという方には、ぜひお聴きいただきたい1枚です。

 

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