70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

「クラシックとロックの融合」をポップに仕上げた名曲! TRACE "King-Bird" (1975)



収録アルバム "Birds"(邦題:鳥人王国)


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今回は、オランダを代表するプログレッシブ・ロック・バンドのトレースが1975年に
リリースしたセカンド・アルバム "Birds"(邦題:鳥人王国)から、"King-Bird"(邦題:組曲 鳥人王国)をご紹介します。


トレースは、EL&P(エマーソン、レイク&パーマー)のキース・エマーソンに大いに
影響を受けたというオランダの天才キーボーディスト、リック・ヴァン・ダー・リンデンにより、1974年に結成されました

 

ピアノ、オルガンのほか、シンセサイザー、ハープシコード、クラヴィネットなどあらゆるキーボードを華麗に操り、クラシックを基調としてブルースやジャズにも精通しているリックですが、大学卒業後はオーケストラでピアノ奏者をしていました。

ですが、キース・エマーソンの演奏に衝撃を受けて、プログレッシブ・ロックの道を歩むようになります

 

EKSEPTION(エクセプション)というバンドに在籍した後、クラシックの様式美とロックのダイナミックさを融合したような音楽を目指して、1974年に自身が中心となってトレースを結成します。

 

キーボード、ドラム、ベースというトリオでスタートしたトレースは、同年、アルバム
"TRACE" でデビューします。

翌1975年には、ダリル・ウェイ(violin)の協力を得て、今回ご紹介するセカンド・アルバム "Birds"(邦題:鳥人王国) をリリースします。


本作 "Birds" ですが、本人が「クラシックとロックの融合」を目指していたという通りに、ピアノやオルガンを始めとしたキーボードを中心として、ギターやリズム・セクションが絡んでいくという、非常にわかりやすく「クラシックとロックの融合」を実現化したような作品になっています。

例えば、リード・ナンバーの "Bourree" は、バッハの「イギリス組曲:第二番・イ短調」をモチーフとして、オルガンとハープシコードのバロック調の高速ユニゾン・フレーズにドラムとベースが絡んで疾走していく、まさにクラシカル・ロック!

これを始めとして、アルバム全編に渡って緻密にビートを刻むリズム・セクションの上をピアノ、オルガンを始めとする様々なキーボードが時に高速フレーズで、時にリリカルなフレーズで駆け巡っていくという「新たな生命を得た様式美」が展開されます。


今回ご紹介する "King-Bird" ですが、「組曲」という邦題のとおり、いくつかの小曲の
集まりで構成されており、全編22分に渡る壮大な楽曲になっています。

教会の鐘の音で幕は明け、パイプ・オルガンの荘厳な響きに導かれて、リズム・セクションとともに、ギターの奏でる組曲のメインテーマが流れてきます。ゆったりとした、どこか素朴な感じのするフレーズは、何となく同胞のプログレッシブ・バンド、フォーカスを思い起させるものがあります。

メインテーマが終わると、テンポが一段階早くなり、ワウ・ギターのバッキングに乗せてオルガンの高速ソロに音数の多いベースが絡むスリリングな展開に。

そして、一旦リズム・セクションはストップしてシンセサイザーの優雅なフレーズから再びギターの奏でるメインテーマへ・・・。

というように、リードを取る楽器やテンポがめまぐるしく変化して、聴く側を飽きさせません。静かなパートはストリングスがロマンチックにリリカルに、テンポの速いパートではギターやオルガンがスリリングにソロを聴かせ、場面ごとの表情の変化がとても楽しい組曲に仕上がっています

 

中ジャケがアメリカン・コミックスのような楽しい絵柄なのですが、よく見ると一つ一つのコマに

"First Avenue"

"Preacher Bird"

"Fire Corps"

というようにタイトルが付いており、これが組曲の各パートと一致するようになっているんですね。

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この絵を見ながら、組曲にじっくりと耳を傾けてみるのも非常に面白そうですね。

 

「クラシックとロックの融合」というと何やら重々しくて堅苦しくて敷居が高そうな気もしますが、このアルバムでは、単純明快にサラリと、非常にポップに合体させてしまっており、とても聴きやすい作品になっています。

ぜひ一度お聴きいただければ、と思います。

 

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