70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

プログレ界を代表する技巧派ドラマーによる超絶テク満載の一曲! Bruford  "One Of A Kind"  (1979)



収録アルバム "One Of A Kind"(邦題:ワン・オブ・ア・カインド)


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今回は、プログレッシブ・ロック/ジャズ・ロック界を代表するドラマー、ビル・ブルーフォードが自身のバンド「ブルーフォード」名義で1979年にリリースしたアルバム "One Of A Kind"(邦題:ワン・オブ・ア・カインド)から、タイトル・チューンの "One Of A Kind"(邦題:ワン・オブ・ア・カインド)をご紹介します。

 

ビル・ブルーフォードと言えば、「イエス」「キング・クリムゾン」「UK」といったスーパー・バンドに在籍し、プログレ・ファンだけでなく多くのロック・ファンに知られている超絶テクニシャン・ドラマーですね。

簡単にその経歴をご紹介していきます。

 

イギリス出身のブルーフォードですが、15歳の頃からバンド活動を開始しており、国内のマイナーなバンドでプロとしての経歴をスタートしています。

20歳の時に音楽誌「メロディ・メーカー」のメンバー募集の広告に応募し、プログレッシブ・ロック・バンド「イエス」の一員となりました。

「イエス」在籍中は、

 1969 "YES"(イエス・ファースト・アルバム)

 1970 "Time And Word"(時間と言葉)

 1971 "The Yes Album"(イエス・サード・アルバム)

 1972 "Fragile"(こわれもの)

 1972 "Close To The Edge"(危機)

という5枚のアルバムのリリースに関わり、「イエス」の黄金期を支えるメンバーとして活躍しました。

 

「イエス」脱退後はロバート・フリップの誘いにより「キング・クリムゾン」に加入し、

 1973 "Larks' Tongues In Aspic"(太陽と戦慄)

 1974 "Starless And Bible Black"(暗黒の世界)

 1974 "Red"(レッド)

という3枚のアルバムをリリースしました。

 

その後、1978年には「キング・クリムゾン」時代の同僚、ジョン・ウェットンとともに「UK」を結成、アルバム "UK"(邦題:憂国の四士)をリリースしますが、すぐに脱退してしまいます。

そして、「UK」時代の同僚、アラン・ホールズワースを始めとする旧知のメンバーを集めて自身のバンド「ブルーフォード」を結成し、今回ご紹介するアルバム "One Of A Kind" をリリースするに至ることになります。

 

「イエス」の演奏ではクラシック寄りの様式美の中でポリリズムを駆使した卓越した演奏を披露しており、また「キング・クリムゾン」ではジャズ寄りの激しいインプロビゼーションを主体とした演奏を聴くことができます。

※ポリリズム:複数の異なる拍子を同時進行で演奏すること。例えば、曲自体は3/4拍子で演奏される中で、ドラムのみ4/4拍子で叩いてリズムの複雑さを演出するなど。

 

さて、今回ご紹介するアルバム "One Of A Kind" ですが、上記の分類で言えば、「キング・クリムゾン」での演奏に非常に近い、ジャズ/フュージョンのエッセンスを盛り込んだ即興演奏的な構成の曲が多く収録されています。

サウンド自体は変に押しつけがましくなくて非常に耳障りが良く、BGMのようにサラッと聴き流してしまいそうになるのですが、よく聴くと、超絶速いフレーズをギターとキーボードがユニゾンでハモっていたり、超絶速いリズム(しかも四分音符と八分音符が絡み合った変拍子)をドラムがノリノリで叩いていたりと、そのテクに驚愕します。

 

バンドのメンバーを簡単にご紹介しておきましょう。

■ ビル・ブルーフォート:ドラムス

■ アラン・ホールズワース:ギター

UK、ソフト・マシーン、ゴングといったプログレ・バンドを渡り歩いた、卓越した技巧と個性的な演奏で有名なギタリストです。エドワード・バン・ヘイレンがライト・ハンド奏法を始めたのは、アラン・ホールズワースの演奏をコピーした時に、左手の指が届かない音を右手の指のタッピングでカバーしてから、なんて逸話も残っていますね(もっとも、これは本人は否定しているようですが)。

ピッキング音などのノイズを嫌い、あくまでもレガートに滑らかな速弾きを行うテクを得意としています。

■ ジェフ・バーリン:ベース

ジャズ、フュージョン、プログレ界では著名なベーシストで、ビル・ブルーフォードやアラン・ホールズワース、渡辺香津美とのコラボが多く、彼らの作品でその超絶テクを聴くことができます。

ジャコ・パストリアスやビリー・シーン(Mr.BIG)、ゲディ・リー(RUSH)などの多くのミュージシャンから称賛されている、プロ中のプロと言ってもよいでしょう。

■ デイブ・スチュワート:キーボード

ゴング、ナショナル・ヘルスなどの多くのカンタベリー系プログレ・バンドに在籍し、ビル・ブルーフォードとのコラボでも知られる名キーボーディストです。

 

さて、今回ご紹介する曲 "One Of A Kind" ですが、パート1とパート2の二部構成となっています。

パート1は、軽やかに宙を舞うような美しいキーボードのリフから始まります。変拍子が盛り込まれていること感じさせないアップ・テンポの軽快なリズムを叩くビル・ブルーフォードのドラミングが素晴らしい!

曲中盤からのギター・ソロに続くギターとキーボードのユニゾン・パートは、軽やかさの中にもしっかりと緊迫感があって、聴きごたえ十分ですね。

冒頭のキーボードのリフがシンセの低音部でリプライズされた後にすべての楽器の音がストップして、これで終わりかと思いきや、ここからパート2が始まります。

各楽器が自由な解釈のもとに即興的なフレーズを奏でます。ギター、キーボード、ベース、ドラムが思い思いの音を出し合っているようなのですが、始めは何のまとまりもなくバラバラだった音が次第にシンクロしてリズムを形成していきます。このプロセスは鳥肌モノですね。

やがて楽器全体が一つになって素晴らしい調和を見せた刹那、パート1のキーボードのリフがリプライズされて、それをバックにギターが大空を翔るような雄大なソロを聴かせて、エンディングへと向かっていきます。

 

美しいメロディのリフを始めとするインストルメンタルの見事な調和フレーズと、インプロビゼーションを思わせる自由な解釈の即興フレーズを両方堪能できる曲であり、それをサラリとやってのける並外れたテクには、ただただ驚かされてしまいます。

 

ビル・ブルーフォードのドラムスは、そのチューニングが高めに設定されていることでも知られています。音程を言葉で表現するのは難しいのですが、スネアは「スコン」、タムの連打は「カラカラカラ」といったような感じでしょうか。重厚さには欠けるものの、クリアで抜けの良い乾いたサウンドは、非常に特徴的で耳に残ります。

 

超絶テク満載の曲を、皆さんもぜひ一度、お聴きください。

 

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