70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

憂いを含んだ声と抜群の歌唱力に心が洗われる名曲! Linda Ronstadt  "Hasten Down The Wind"  (1976)



収録アルバム "Hasten Down The Wind"(邦題:風にさらわれた恋)


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今回は、アメリカの女性ボーカリスト、リンダ・ロンシュタットが1976年にリリースしたアルバム "Hasten Down The Wind"(邦題:風にさらわれた恋)から、タイトル・ナンバーの "Hasten Down The Wind"(邦題:同)をご紹介します。

 

1946年に4人兄弟の3番目として生まれたリンダでしたが、歌手だった父親の影響もあり、幼い頃から兄や姉たちとコーヒーハウスやクラブで歌い始めていました。

この頃からリンダの透き通った歌声は地元では評判で、19歳の時には地元のフォーク・シーンの中心人物だったボブ・キンメルにスカウトされ、リンダをボーカルとするバンド「ストーン・ポニーズ」を結成し、1967年にはアルバム "The Stone Poneys" でデビューを果たします。

このバンドはカントリー&ウェスタンを基調としたフォーク・グループだったのですが、1968年にはシングル "Different Drum"(邦題:悲しきロック・ビート)が全米13位のヒットとなります。

 

しかし、これ以外はあまりパッとすることもなく、バンドも次第にリンダのソロ・プロジェクトの色が濃くなり、3枚のアルバムを残してバンドは解散してしまいました。

 

バンド時代からソロ活動を勧められていたこともあり、リンダはバンド解散後の1969年にアルバム "Hand Sown...Home Grown" でとんとん拍子のソロ・デビューを飾りました。

1970年にはセカンド・アルバム "Silk Purse"(邦題:ロング・ロング・タイム)がリリースされ、このアルバムからシングル・カットされた "Long Long Time"(邦題:ロング・ロング・タイム)が全米25位のヒットとなり、当時、その勢力を徐々に強めていった「ウェスト・コースト・サウンド」の中心女性シンガーとして、知名度を広めていくきっかけとなります。

 

ちなみに、1972年にリリースされたサード・アルバム "Linda Ronstadt" のバックを務めたドン・ヘンリー(ドラムス)、グレン・フライ(ギター)、バニー・レドン(ギター)、ランディ・マイズナー(ベース)が後に「イーグルス」として独立したのはよく知られた話ですね。

 

1973年に4枚目のアルバム "Don't Cry Now"(邦題:ドント・クライ・ナウ)のリリースの後、1974年には5枚目のアルバム "Heart Like A Wheel"(邦題:悪いあなた)をリリースしますが、このアルバムからシングル・カットした "You're No Good"(邦題:悪いあなた)が全米1位を記録する大ヒットとなり、一気に「アメリカの若き歌姫」としてその存在を認識されるようになりました。

 

この頃には、幼少期から注目されていたリンダの歌唱力にも一層磨きがかかり、大人の女性としての微妙な表現力も身に付けていました。

実際にリンダは「恋多き女性」としても有名で、J.D.サウザーなどの著名ミュージシャンとのロマンスも数多く、それが歌唱における豊かな表現に影響を与えていたのかも知れないですね。

 

アルバム・リリースでも、1975年リリースの "Prisoner In Disguise"(邦題:悲しみのプリズナー)は全米4位1976年リリースの "Hasten Down The Wind"(邦題:風にさらわれた恋)は全米3位と安定したセールスを残しており、オリビア・ニュートン・ジョンと並んで「1970年代を代表する女性シンガー」としての地位を確立することになりました。

 

さて、今回ご紹介するアルバム "Hasten Down The Wind" ですが、誤解を恐れずに言えば「リンダの歌声を聴かせるだけのためのアルバム」と言えるでしょう。スローなナンバーをメインに、バックの演奏を極力排除したシンプルな音空間の中で、リンダの澄み切った歌声が響き渡ります

 

1970年代の代表として双璧を成したオリビア・ニュートン・ジョンと比較してみると、非常に興味深い結果となります。

オリビアの高音域の線を細くした(実際に線が細い訳ではなく、そのように発声した)歌唱が女性の可憐さ、繊細さを表現しているのに対して、リンダは高音域でも線の太さを変えることなく、憂いを含んだ声質で女性の真摯さ、一途さを表現していると思えます。

もちろん、どちらが優れているということはなく、二人とも飛び抜けた歌唱力でオーディエンスの心を鷲掴みにしてしまう、素晴らしいシンガーであると言えるでしょう。

 

今回ご紹介する "Hasten Down The Wind" ですが、イーグルスのドラマー兼リード・ボーカリスト、ドン・ヘンリーとのデュエットになっています。

やはりバックの演奏を最小限にしたしっとりとしたナンバーで、リンダの豊かな歌唱力が堪能できる曲ですね。ドン・ヘンリーのハスキーで柔らかな声質が、またリンダの声と見事なハーモニーを奏でており、もう何をすることも忘れて、聴き惚れてしまいます。

 

ジャケットが非常にセクシーなのですが(このジャケットに惹かれてアルバムを手にした青年諸氏も多いと思いますが)、その印象を覆すような本物の「シンガー」としてのアルバムになっています。

時には、心が洗われるような本格的歌唱の世界にどっぷりハマってみるのもよろしいのではないでしょうか。

 

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