収録アルバム "The Best Of The Nolans"(邦題:ザ・ベスト・オブ・ノーランズ)
今回ご紹介するのは、イギリスの姉妹ポップス・グループ、ノーランズの1979年の大ヒット曲、"I'm In The Mood For Dancing"(邦題:ダンシング・シスター)です。
元は、アイルランド出身のノーラン一家(両親と2男6女)が「ザ・シンギング・ノーランズ」と名乗るファミリー・グループとして1972年にデビューしたのが始まりでした。
1974年には両親がグループから離れ、姉妹のうち5人で「ノーラン・シスターズ」として、"But I Do"(邦題:思い出ロンリネス)で再デビューします。
イギリス国内で活動を続けていた「ノーラン・シスターズ」ですが、1979年にリリースしたアルバム "The Nolan Sisters" の収録曲だった "I'm In The Mood For Dancing" がシングル・カットされると、全英3位にまで上る大ヒットとなりました。
1980年にグループ名を「ノーランズ」に改めるのですが、"I'm In The Mood For Dancing" を「ノーランズ」名義の「ダンシング・シスター」という曲名で日本国内でリリースしたところ、これがオリコン2週連続1位を獲得する大ヒットとなり、日本でも「ノーランズ」人気に一気に火が着きました。
ちなみに、1967年にオリコン・シングル・チャートが正式スタートして以来、海外女性グループの作品が1位を獲得したのは、これが初めてということです(その後、海外女性グループがオリコン1位を獲得するのは、30年後の2011年、KARAの「ジェットコースターラブ」までありませんでした)。
その後も、同年には "Gotta Pull Myself Together"(邦題:恋のハッピーデート)がオリオン9位、翌1981年には "Who's Gonna Rock You"(邦題:ときめきTWENTY)がオリコン21位、同じく "Sexy Music"(邦題:セクシー・ミュージック)がオリコン7位と立て続けにヒットを飛ばし、母国イギリスだけでなく、日本でもヒット・チャートの常連グループとして定着することになりました。
アルバムを聴くとわかりますが、ノーランズをただの可愛いだけのグループかと思っていたら大間違いです。
まず、楽曲そのものが素晴らしいですね。ポップスの王道を行く、わかりやすくて覚えやすいメロディは、何気なく口ずさむのには最適です。
姉妹たちのボーカルも若々しくて瑞々しくて、楽しい歌でも悲しい歌でもついつい感情が揺さぶられてしまいます。
今回ご紹介する "I'm In The Mood For Dancing" ですが、TVドラマやCMで何度も使われていますので、きっと誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
チューハイや自動車のCMに使われていましたが、最近では、某携帯キャリアのS社のCMでも流れていましたね。
軽快なアップ・テンポの曲で、楽しげなボーカルに聴いているこちらもリズムを取りたくなってしまう、とても良い曲です。コーラス・アレンジが鉄板ですが絶妙で、ハーモニーの美しさはさすが姉妹!というところでしょう。
サビで転調したりと曲構成もなかなか凝っていて、聴き所の多い曲と言えますね。
ノーランズですが、母国イギリス(およびアイルランド)、日本では大いにヒット・チャートを賑わせたのですが、アメリカのチャートには一度も入ったことがありません。
非常に珍しいパターンですね。
そんな理由もあり、日本人アーティストがノーランズの曲をカバーすることも多く、代表的なものとしては、
□ 恋のハッピー・デート(石野真子・1980年)
□ セクシー・ミュージック(Wink・1990年)
などが挙げられます。
今回ご紹介するベスト・アルバムは、先に挙げた彼女たちのヒット曲を網羅しているだけでなく、ABBAの「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」のカバーなども収録されており(これがまたABBA顔負けのクオリティ)、ノーランズの魅力を堪能できる一枚になっています。
今聴いても、全然古臭いこともなく、何度もCMなどで起用される理由がわかるような気がします。
英アイドル・ポップスの王道を、ぜひご堪能ください!