70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

「パクリ騒動」から火が着いた一曲! Ray Kennedy "You Oughta Know By Now" (1980)



収録アルバム "Ray Kennedy"(邦題:ロンリー・ガイ)


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さて、今回はアメリカのシンガー・ソング・ライター、レイ・ケネディのソロ・アルバム "Rey Kennedy"(邦題:ロンリー・ガイ)から "You Oughta Know By Now"(邦題:ロンリー・ガイ → アルバムと同じタイトルでややこしい!)をご紹介します。

 

1946年にアメリカのフィラデルフィアに生まれたレイ・ケネディですが、1970年にアルバム "Raymond Louis Kennedy" でソロ・デビューします。が、何の話題に昇ることもなく、不発で終わってしまいます。

1976年にはカーマイン・アピス、マイク・ブルームフィールドら後にロック界を牽引していくことになるミュージシャン達とバンド「KGB」を結成し、アルバムを2枚リリースするのですが、こちらもそれほど注目されることはありませんでした

 

そして1980年、AORロックの時流に乗り、デビッド・フォスターのプロデュースのもと、ウェストコーストの名だたるスタジオ・ミュージシャンのサポートを得て、ソロ・アルバム "Rey Kennedy" をリリースします。

 

同じ頃、日本ではシンガー・ソング・ライターの八神純子さんが9枚目のシングル「パープルタウン」をリリースします。こちらは、日本航空のCMソングに起用されたこともあり、オリコン1位を獲得するなどの大ヒットとなりました。

 

ところが、このヒット曲に「パクリ疑惑」が浮上してしまいます。

 

レイ・ケネディ側が、「パープルタウン」のメロディの一部およびアレンジが「You Oughta Know By Now」に酷似しているということで、盗作疑惑ありとクレームをつけてきたのです。

八神純子の所属する事務所(ヤマハ音楽振興会)の対応は速やかで、

■ 曲名に原曲タイトル「You Oughta Know By Now」を入れる事

■ 作曲者のクレジットに「Ray Kennedy, Jack Conrad, David Foster」を入れる事

という2点をもって、決着に至りました。

 

しかしながら、この「パクリ疑惑」には不可解な点が多く、

① 八神純子側の対応があまりにも速やかだったこと。

② 「パープルタウン」リリース直前の頃、八神純子が頻繁に渡米していたこと。

③ 「パープルタウン」、「You Oughta Know By Now」収録アルバムのリリース時期がほぼ同時期だったこと。

これらの事から、制作段階で両者には接点があり、「この曲使わせてねー」「いいよー」的な「共作」の口約束が既にできていたのではないか?と考えることができます。「たかが東洋の小娘に・・・」とケネディ側が軽く見ていたところ、予想を上回るヒットとなってしまい、ケネディ側が慌てて対策を迫って、八神側も「やっぱりそうだよねー」と予め想定していた対応を行った、と見るのが妥当なような気がします。

 

ぜひ、この2曲を聴き比べてみていただけたら、と思います。

まずは、レイ・ケネディの "You Oughta Know By Now" です。

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そして、八神純子さんの「パープルタウン」です。

youtu.be

 

イントロのストリングの入り方からもうそっくりですね。

ボーカル・パートのコード進行、メロディ、ギターのリフなど、これはもう言い逃れはできないレベルです。

しかし、皮肉なことに、この「パクリ疑惑」のおかげでレイ・ケネディの日本での認知度もぐっと上がる結果となりました。

 

アルバム "Ray Kennedy" ですが、デビッド・フォスター(プロデュース)を筆頭に、スティーブ・ルカサー(ギター)、ジェフ・ポーカロ、マイク・ベアード(ドラムス)、マイク・ポーカロ(ベース)、ビル・チャンプリン、トミー・ファンダーバーグ(コーラス)などの西海岸の実力派ミュージシャンが名を連ねているとおり、AOR/ウェストコースト・ロックの典型的な音作りで、実に完成度の高い、一聴に値するアルバムに仕上がっています

ケネディのちょっとしゃがれたハスキー・ボイスは、どこかR&Bの魂を感じさせるような響きがあり、ハードな曲では男臭さを演出する一方で、静かなバラードでも想定外の一体感を見せて、様々な曲調を見事に歌いこなしています。

 

今回ご紹介する "You Oughta Know By Now" は、スティーブ・ルカサーのギターが大活躍するポップなロックで、図太い低音のリフから間奏のソロまで、縦横無尽に弾きまくっています。ルカサーのギターを「動」とするならば、デビッド・フォスターの素晴らしいストリングス・アレンジは「静」を演出し、曲の中でのメリハリが計算し尽されている感じで実にお見事!

もちろん、ケネディのシャウト気味のボーカルはこのようなハードな曲にピッタリで、エモーショナルな緊張感に心の琴線が揺さぶられます。

 

アルバムの中では、バラードの "Just For The Moment" も素晴らしい作品ですね。サビに至るメロディ・ラインが実に美しく、ケネディのソング・ライティングの非凡さが証明されています。ボズ・スキャッグスが歌ってもしっくりくるであろう、都会の夜の哀愁が表現されていて、おススメの一曲です。

 

「パクリ疑惑」という意外なところで注目されてしまった一曲ですが、「パクられる」に値する完成度の高い素晴らしい作品だと思います。

ぜひ一度、お聴きくださいませ。