70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

グレイス・スリックの名曲をAORロック調にカバーした意欲作! 河合奈保子 "THROUGH THE WINDOW~月に降る雪~" (1985)



今回から3回にわたり、「洋楽ファンならワカッて欲しい!邦楽女性ボーカル名曲集!」をお届けしたいと思います。

第1回目の今回は、河合奈保子さんが1985年にリリースした「THROUGH THE WINDOW ~月に降る雪~」をご紹介します。

 

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アイドル歌手として1980年にデビューした河合奈保子さんでしたが、次第に楽曲やアルバムの制作面にも関与し、プロのアーティストとしての強い自覚が目覚め始めた頃にリリースした、アメリカ・LAのスタジオ・ミュージシャンをバックに従えての意欲作です。

 

この「THROUGH THE WINDOW」は、アメリカのロック・シンガー、グレイス・スリックが1984年にリリースしたアルバム "Software" に収録されている曲のカバーです。

グレイス・スリックといえば、ジェファーソン・エアプレインやスターシップのリード・ボーカルとしての活動が有名ですね。パワフルでエネルギッシュ、情熱的なボーカリストで、"Nothing's Gonna Stop Us Now"(邦題:愛は止まらない)は全米1位になりました。そのほかにも、多くのヒット曲・名曲を世に送り出しています。

 

また、この曲の作詞・作曲はピーター・ベケットという方なんですが、こちらは1977年の全米NO.1ヒット曲 "Baby Come Back" で名を馳せたプレーヤーというバンドのリード・ボーカリストです。

 

グレイス・スリック、ピーター・ベケットという全米No.1がらみの「THROUGH THE WINDOW」ですが、これがなかなかの名曲です。

グレイス・スリックの元歌は、シンセや電子ドラムが前面に押し出されたエレクトロ・ポップ調の仕上がりなのですが、河合奈保子さんバージョンはというと、オーバー・ドライブのギターを大胆にフィーチャーしたウェストコースト/AORロック調になっています。

それもそのはず、河合奈保子さんバージョンのプロデューサーは、トム・キーン&ウンベルト・ガティカという方々。トム・キーンは「TOTOの弟分」とも言われたウェストコースト・ロック・バンド「キーン」のメンバーであり、ウンベルト・ガティカはデビッド・フォスターとの共作も多いアメリカ西海岸の名プロデューサーです。

 

このお二人にして、この音あり!ですね。

 

バック・ミュージシャンは明らかになっていませんが、同時期にリリースされたLA収録のアルバム「ナイン・ハーフ」と同じメンバーだとすると、

□ ドラム:ジョン・ロビンソン

□ ギター:マイケル・ランドウ

□ ベース:マイク・ポーカロ

□ キーボード:デビッド・フォスター、トム・キーン

という、ウェストコースト・ロック・ファンならヨダレが出てしまいそうな凄いメンバーです!

(ちなみにアルバムのプロデューサーはウンベルト・ガティカです。)

 

シンセのベース・ラインに被さるギターのハーモニックスからの、低音弦の重いリフが期待感を煽ります。曲全体で要所要所にこのリフが入ってくるのですが、TOTO、ボストンあたりの雰囲気で、この時点で洋楽ファンならもう引きずり込まれてしまってますね。

そして河合奈保子さんのハリのある艶やかなボーカル。この方、中音域から高音域にかけての音域の声の伸びが素晴らしいです。この曲で言えば、サビ前のロング・トーン、および間奏前のBメロのロング・トーン。ゾクゾクしてくるほどですね。バックの名手たちにも負けないくらいの堂々とした歌いっぷりが、実に気持ちがいいです。

間奏はマイケル・ランドウの独壇場です。短いフレーズですが、鉄板のウェストコースト・ロックの王道を行くギター・ソロ、という感じでしょうか。

 

河合奈保子さんバージョンの後にグレイス・スリックバージョンが流れます。

河合奈保子さん、クチパクですが・・・。

www.youtube.com

 

この「THROUGH THE WINDOW」は名曲だと思いますが、河合奈保子さんは「ナイン・ハーフ」「デイドリーム・コースト」という2枚のアルバムをLAのスタジオ・ミュージシャン達と作り上げていますいずれも歌謡曲という枠を超えた素晴らしい作品で、洋楽ファンでさえもきっと虜になるはず!

ぜひ、こちらも併せてお聴きください。

 

「河合奈保子・しんぐるこれくしょん」

 

「ナイン・ハーフ」

 

「デイドリーム・コースト」