70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

日本でも大ヒットした、フィラデルフィア・ソウルの最高の名曲! The Three Degrees "When Will I See You Again" (1974)



収録アルバム "The Best Of The Three Degrees"


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今回は、1974年にリリースされたフィラデルフィア・ソウルの最高の名曲、スリー・ディグリーズの "When Will I See You Again"(邦題:天使のささやき)をご紹介します。

 

スリー・ディグリーズは1963年にアメリカのフィラデルフィアで結成され、1964年にデビューします。

しばらくの間はヒット曲に恵まれませんでしたが、その人気に火が着いたのは、意外にも遠く離れたオランダからでした。1973年にリリースした "Dirty Ol' Man"(邦題:荒野のならず者)が、オランダの洋楽チャートで1位を獲得したのです。

続けてリリースした  "Year Of Decision"(邦題:幸せの季節)が今度はイギリスで大ヒットを記録します。

そしてアメリカでは、音楽番組「ソウル・トレイン」のテーマ曲 "The Sound Of Philadelphia"(邦題:ソウル・トレインのテーマ)が全米チャートの1位に輝き、本国アメリカでも一躍人気者となりました。

 

スリー・ディグリーズのサウンドは、「フィラデルフィア・ソウル」と呼ばれています。1970年代前半、ロックンロールが隆盛していたフィラデルフィアでは、黒人人口が多い割にはソウル・ミュージックが今一つ盛り上がりに欠けていました。

そこで、「フィラデルフィア発のソウル・ミュージックを世に広めよう」と一念発起したのが、「フィラデルフィア・インターナショナル・レコード」というレコード会社でした。スリー・ディグリーズも所属するこの会社が本腰を入れてソウル・ミュージックの普及に取り組み、それが大成功を収めて「フィラデルフィア・ソウル」と言われるブランドになるまで成長したということです。

 

1974年にリリースした "When Will I See You Again"(邦題:天使のささやき)は、イギリスで1位、アメリカで2位を記録する大ヒットとなります。その人気は日本にも伝播し、オリコンの洋楽チャートでも1位を記録するなどして、日本における洋楽ブームの一翼を担うことになったのでした。

 

この曲が大ヒットした理由は、メロディ・ラインの美しさにあると言えるでしょう。

ゆったりとした大河の流れのようなテンポも、ストリングスの奏でるイントロも、効果的なブラスも全てが美しいのですが、それにも増して、女性3人のコーラスが紡ぎ出す、奇をてらうことのない優雅で華麗なメロディが聴く者を魅了します。

 

"When Will I See You Again"が大ヒットして、それに続く新曲のリリースを熱望していた日本のレコード会社(CBSソニー)でしたが、一向に新譜の出る気配はありませんでした。

それならば日本で作ってしまえ!と、スリー・ディグリースを日本に呼び、3曲のレコーディングを行います。

1曲は "When Will I See You Again" の日本語バージョン、残りの2曲は完全オリジナル曲で、

□ Midnight Train(邦題:ミッドナイト・トレイン)

  作詞:松本隆

  作曲:細野晴臣

□ にがい涙

  作詞:安井かずみ

  作曲:筒美京平

何と言う豪華な布陣なんでしょう!

※どちらも日本限定発売。

 

どちらも本国に負けることのないソウルフルなナンバーで、「和製フィラデルフィア・ソウル」と言っても少しも恥ずかしくない素晴らしい曲です。

興味深いのは、この2曲が目指すところは「フィラデルフィア・ソウル」なのですが、そのアプローチの仕方が真逆なところです。

"Midnight Train" は、バンドとして非常に高いレベルを誇る「ティン・パン・アレイ」による演奏で、日本臭さがなく、本国のソウル・ミュージックと聴き比べてもまったく遜色のない仕上がりになっています。

一方、"にがい涙" は、確かに「ソウル」なのですが、視点を変えると、完全に「歌謡曲」に聞こえてくるのです。和田アキ子さんあたりが歌ってもまったく違和感のない曲なのですが、これをスリー・ディグリーズが歌うと、やっぱりソウルになるんですね。

「歌謡曲」の成り立ちを考えると、各時代の最先端の流行りの音楽のいいとこ取りで成長してきた音楽だと思いますので、当然と言えば当然かもしれませんが、非常に興味深いことです。

 

日本の音楽界に大きな足跡を残してくれたスリー・ディグリーズの楽曲を、もう一度聴きなおしてみてはいかがでしょうか。

 

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