70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

プログレッシブ・ロック界に燦然と輝く最大級の名曲! YES "Roundabout" (1971)



収録アルバム "Fragile"(邦題:こわれもの)


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今回、次回と2回にわたって、イギリスのプログレッシブ・ロック界の重鎮、イエスの楽曲をご紹介します。

 

まず今回は、1971年にリリースされた4枚目のアルバム、"Fragile"(邦題:こわれもの)から "Roundabout" をご紹介します。

 

1970年代のイギリスにおける「プログレッシブ・ロック」の一大ムーブメントは、「英国五大プログレ・バンド」に牽引されていました。

「英国五大プログレ・バンド」とは、

■ キング・クリムゾン

■ ピンク・フロイド

■ イエス

■ EL&P(エマーソン、レイク&パーマー)

■ ジェネシス

を指します。

 

その一翼を担ったイエスですが、1969年にアルバム "YES" でデビューします。

この時のメンバーは、

□ ジョン・アンダーソン(ボーカル)

□ クリス・スクワイア(ベース)

□ ビル・ブラフォード(ドラム)

 

□ ピーター・バンクス(ギター)

□ トニー・ケイ(キーボード)

 

という面々でした。

 

デビュー当初の音楽性は、ビートルズ、クリーム、バニラ・ファッジなどによく似た、サイケデリックなフォーク・ロックといったものでした。ただ、随所にジャズの影響が表れており、クラシックやジャズなどの幅広い音楽を包括したプログレッシブ・ロックのベースは形成されつつあったと言えるでしょう。

 

イエスのデビューは、業界での注目度は高かったものの、商業的には成功と呼ぶには程遠い結果となったしまいました。

 

1970年にはセカンド・アルバム "Time And A Word"(邦題:時間と言葉)をリリースします。このアルバムでは、オーケストラと共演した「シンフォニック・ロック」を聴くことができます。

 

この年、ギターのピーター・バンクスが脱退して、新たにスティーブ・ハウがギタリストとして加入します。これは、バンドがプログレッシブ・ロックに傾倒していくきっかけとなり、新しいギタリストを迎えて作成されたサード・アルバム "The Yes Album"(邦題:イエス・サード・アルバム)は以降のイエスのサウンドの基盤とも言えるプログレッシブ・ロックが展開されます。

このアルバムは英国では4位、全米でも40位というヒットとなり、ここにきてようやくイエスというバンドの認知度が広まってくる結果となりました。

 

しかし、ここで再びメンバーの脱退劇が起きてしまいます。ピアノ、オルガンに固執し、メロトロン、シンセサイザーといった「新しい電子楽器」の導入に消極的だったキーボードのトニー・ケイはバンドの音楽性にそぐわないという理由で脱退となってしまいました。

この窮地を救ったのが、リック・ウェイクマンです。

リック・ウェイクマンの卓越した演奏技術と新しいものに挑戦する姿勢は見事にバンドの方向性とマッチし、メンバー・チェンジ後の1971年にリリースされた4枚目のアルバム、"Fragile"(邦題:こわれもの)は、全米アルバム・チャートの4位、全英でも7位を記録する大ヒットとなり、バンドがプログレッシブ・ロック界と言うよりは全米ロック界の頂点に到達した記念すべき1枚となりました。

 

この時点でのメンバーは

□ ジョン・アンダーソン(ボーカル)

□ クリス・スクワイア(ベース)

□ ビル・ブラフォード(ドラム)

□ スティーブ・ハウ(ギター)

□ リック・ウェイクマン(キーボード)

となり、イエスの黄金期を形成するメンバーがついに顔を揃えたことにります。

 

今回ご紹介する "Roundabout" は、アルバム "Fragile" の収録曲であり、イエスの代表曲として今でもファンの間では非常に支持の高い名曲です。

スティーブ・ハウによるギターのイントロは非常に繊細で、ドラム、ベースのリズム・セクションのカット・インからのハーモニックスによるバッキングは、当時の(ちょっと他人とは違うんだぞ感を出している)ギター小僧であれば誰もが憧れてコピーに励んだ美しいフレーズです。

リズム・セクションは複雑な曲構成を支える非常に重要な役割を担っているのですが、ビル・ブラフォードの(決してパワフルではないのですが)実に華麗で繊細なスティックさばき、そしてクリス・スクワイアのリッケンバッカーから放たれるゴリゴリとした音数の多いベース・ラインはしっかりとサウンドの屋台骨を支えて、まさにイエスのサウンドの要と言えるでしょう。

ギターとともにリード・パートを担い、時にはギターと絡み、時には圧倒的なハモンド・オルガンのソロを聴かせるリック・ウェイクマンのキーボードはイエスのサウンドの華の部分を受け持っていると言えます。

そしてイエスの「顔」、ジョン・アンダーソンの実に表情豊かな美しいハイトーン・ボイス

これらが非常に高いレベルでのアンサンブルを形成し、なおかつ惜しげもなく個々の技術を披露し協調性の中でせめぎ合うのがイエスのサウンドであり、この代表曲 "Roundabout" の聴きどころです。

 

この後もイエスは、

1972年 "Close To The Edge"(邦題:危機)

1973年 "Tales From Topographic Oceans"(邦題:海洋地形学の物語)

と名盤をリリースし、プログレッシブ・ロック界のトップに君臨し続けるのですが、他の歴史あるバンドと同様に、音楽性や方向性の違いなどからメンバー・チェンジを繰り返し、次第にその輝きを失っていってしまいます。

 

次回は、その衰退から見事に復活を遂げることとなった名曲をご紹介したいと思います。