70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

看板の美人姉妹が率いるバンドが放つ全米No.1ヒット! Heart "Alone" (1987)



収録アルバム "Bad Animals"


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今回は、アメリカのロック・バンド、ハートの9枚目のアルバム "Bad Aninmals" から "Alone" をご紹介します。


バンドの起源を辿ると、1966年に結成された "The Army" というバンドになるのですが、メンバー・チェンジを繰り返し、バンドの基盤を固めた後に、ロジャー・フィッシャー(ギター)、アン・ウィルソン(ボーカル)、ナンシー・ウィルソン(ギター)
が中心となり、ロック・バンド「ハート」として1976年、アルバム "Dreamboat Annie" でデビューを果たします。


アンとナンシーという美人姉妹が看板であること、そして「女性版ロバート・プラント」と称されるアンのエキセントリックなシャウト・ボイスが話題となり、アルバムは全米7位という好成績を収め、文句なしのキャリアスタートを切りました。
アルバムからは "Magic Man" がシングルカットされ、全米9位というヒットを記録しています。

 

1977年には2枚目のアルバム "Little Queen" をリリース、こちらも全米9位のヒットとなり、シングルカットした"Barracuda" は全米11位と、商業的にもデビューからの好調を維持し続けていました。

 

その後も "Magazine"(1978年)、"Dog & Butterfly"(同年)とアルバムをリリースし、そこそこのセールスを記録してトップ・バンドとしても定着し、さあ、これから、という時に、アクシデントが勃発します。

 

バンドのオリジナル・メンバーでもあり、デビュー当時からバンドを支えてきたロジャー・フィッシャーが、バンド内での恋愛感情のもつれから脱退してしまいます。
これにより、バンドの主導権は完全にウィルソン姉妹が握ることになり、新しいハートとして1980年にアルバム "Bebe Le Strange" をリリースします。このアルバムは全米5位という好成績で、アクシデントも影響なし、と思われました。

 

しかし、1980年代に入り、音楽界はニューウェーブ系、ニューロマンティック系を始めとする新しい波が押し寄せてきており、1970年代のアコースティックを基調とした古典的なロックを展開するハートは時代遅れのものになってきてしまいました。
この頃にリリースしたアルバム "Private Audition"、"Passionworks" は世間の評判も今ひとつでセールス的にもパッとせず、残念ながら二線級のバンドに落ちて行ってしまいました。

 

ここでハートは大きな賭けに打って出ます。
まず、プロデューサーにロン・ネヴィソンを招聘します。ロンは、当時サバイバー、キッスなどのプロデューサーを務め、ヒットを連発していた敏腕プロデューサーでした。
そして、アルバムに収録する楽曲を、自作の楽曲を捨てて外部の売れっ子ライターに依頼する決断をします。
デビュー当時からの音楽性を頑なに貫いてきたバンドにとっては、まさにプライドを捨てた起死回生の一手でした。

 

こうして完成した8枚目のアルバム "HEART"(1985年)は、世界中で爆発的なヒットを記録することになります。
ハートの長いキャリアの中でも、初めての全米1位を獲得しました。
このアルバムからは、"What About Love"(全米11位)、"Never"(全米4位)、"These Dreams"(全米1位)、"Nothin' At All"(全米10位)と4枚のシングルがトップ10に入る快挙を成し遂げ、バンドとしても低迷期を経てからの見事なカムバックで再びスターダムにのし上がる結果となりました。

 

そして、その勢いの中で1987年には9枚目のアルバム "Bad Animals" をリリースします。
このアルバムも全米2位と前作からの好調を維持し、シングルカットした "Alone" は全米1位の大ヒットとなりました。

 

ハートの魅力は、何と言っても、アン・ウィルソンの華麗なハイトーン・ボイスにあります。
バンドの音楽性は、デビュー当時の古典的なハードロックから、ロンのプロデュース後は、商業的にも十分に意識された、流行の最先端の音楽の要素をうまく取り入れた華やかで爽やかなハードロックへと変わっていっていますが、アンのボーカル・スタイルはその中でも変わることなく、押さえめなバラードから高音域でシャウトする情熱的な
ハードロックまで幅広くカバーのできる素晴らしい歌声を聴かせてくれます。

 

アルバム "Bad Animals" は、サウンド的にはフォリナーやサバイバーを少し華やかにした音で、語り掛けるようなバラードや、明るい爽快なロック、そして激しめのシャウトとアンのボーカルの魅力が十分に引き出されたアルバムと言えるでしょう。

 

今回ご紹介する "Alone" ですが、ビリー・スタインバーグとトム・ケリーという、当時の売れっ子のソング・ライティング・チームから提供を受けた曲で、その後セリーヌ・ディオンなどの多くのミュージシャンがカバーしている名曲です。
ピアノの静かなイントロから始まり、ボーカルも押さえめに入るのですが、サビに入って一気に盛り上がります。
アンのハイトーン・ボイスを絡めたコーラス・ワークが実に美しく、圧倒されてしまいますね。
ナンシーの間奏でのギター・ソロも、曲の盛り上がりと一体感があって素晴らしい演奏です。

 

 

この曲は、ぜひ他のミュージシャンのバージョンと聴き比べていただきたいですね。

次回は、ビリー・スタインバーグとトム・ケリーが結成したプロジェクト "i-Ten"(アイ・テン) のアルバムから同じく "Alone" を取り上げる予定です。

 

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