70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

フォークロック界を代表する唯一無二のデュオ! Simon & Garfunkel "The Sound Of Silence" (1965)

収録アルバム  "Sound Of Silence"

 

今回は少し年代が古くなりますが、1960年代に大活躍したフォークロック・デュオ、サイモン&ガーファンクルを取り上げたいと思います。

とりあえず "The Sound Of Silence" となっていますが、彼らの曲は名曲だらけなので、後半でドドッと紹介しちゃいます。

 

ニューヨークの小学校時代からの親友だったポール・サイモンとアート・ガーファンクルは、1957年に「トム&ジェリー」というコンビ名で活動を開始し、1964年に「サイモン&ガーファンクル」という名前に改めて、アルバム "Wednesday Morning 3A.M."(邦題:水曜の朝、午前3時)でデビューします。

しかし、このアルバムは全くと言っていいほど売れず、落胆したポールはアメリカ放浪の旅に出て、アートは大学院へと戻ってしまいます。

 

ところが、プロデューサーのトム・ウィルソンが、二人には何の断りもなく、アルバムに収録されていた "The Sound Of Silence" にエレキギターやドラムのオーバー・ダビングをしてシングルとして発売したところ、これが大ヒットしてしまい、二人は慌てて戻って活動を再開したのでした。

 

二人はアルバム制作に取り掛かり、"The Sound Of Silence" のシングル・バージョンを含めたアルバム "Sound Of Silence"(邦題:サウンド・オブ・サイレンス) を1966年にリリースします。このアルバムは、全米21位の売上を記録しました。

 

同年、引き続き3枚目のアルバム "Parsley, Sage, Rosemary And Thyme"(邦題:パセリ、セージ、ローズマリー・アンド・タイム)をリリースすると、全米4位の大ヒットとなり、サイモン&ガーファンクルのアルバムとしては初の全米トップ10入りを果たすことになったのでした。

 

1967年には、マイク・ニコルズ監督の映画「卒業」への楽曲提供を行い、そのサウンドトラック・アルバムが翌年にリリースされました。

このアルバムは全米7週連続1位という大ヒットを記録したのですが、このアルバムを1位の座から引きずり下ろしたのは、同年に二人がリリースした4枚目のスタジオ・アルバム "Bookends"(邦題:ブックエンド)でした。

 

1970年には、通算5枚目のスタジオ・アルバム "Bridge Over Troubled Water"(邦題:明日に架ける橋)をリリース、全英、全米で1位を獲得、シングル・カットされたタイトル曲も同じく全英、全米で1位を獲得、グラミー賞の最優秀アルバム賞も獲得し、サイモン&ガーファンクルがまさに頂上に登り詰めた瞬間でした。

しかしながら、この頃からポールとアートは音楽性の違いで対立することが多くなり、二人はソロ活動への道を進んで行くことになります。

 

サイモン&ガーファンクルの魅力としては、ポールの哲学的な詞、アートの天使のような美しい歌声、二人の産み出すハーモニーなどが言われていますが、敢えて異なる点を魅力として挙げるならば、アレンジにおけるギター(特にアコースティック・ギター)の音処理の絶妙さを指摘したいと思います。「ミセス・ロビンソン」や「ボクサー」で聴くことのできるアコースティック・ギターの低音弦のビビリ具合やピックが弦に擦れる音、一転、「スカボロー・フェア」で聴くことのできる高音弦の澄み渡るような透明さなど、ギターの発する音をこれでもかと聴かせてくるアレンジが、どんな電子楽器を使うよりも心に(と言うか、魂に)響いてくるのではないかと思います。

 

それでは、主要なアルバムと収録されている名曲をご紹介していきます。

 

 "Wednesday Morning, 3A.M."(邦題:水曜の朝、午前3時)

 

"The Sound Of Silence" のアコースティック・バージョンが収録されています。

発売当時には全く話題にならなかったのですが、"The Sound Of Silence" のシングルがヒット後に見直され、最終的には全米30位まで到達しました。

 

"Sound Of Silence"(邦題:サウンド・オブ・サイレンス)

 

 全米21位にまで達したアルバムです。

ギターのリフが印象的な "I Am A Rock"(アイ・アム・ア・ロック)、アコースティック・ギターの魅力を充分に引き出している "Anji"(アンジー)"April Come She Will"(四月になれば彼女は)など、完成度がとても高いアルバムです。

 

"Parsley,Sage,Rosemary And Thyme"(邦題:パセリ、セージ、ローズマリー・アンド・タイム)

 

 全米4位を獲得した大ヒット・アルバムです。

"Scarborough Fair"(スカボロー・フェア)は素晴らしい曲ですね。元はイギリスの伝統唱歌です。牧歌的で幻想的な歌詞なのですが、ポールはその裏に「将軍は兵士達に『殺せ』と命ずる」といったような反戦の詞を織り込んでおり、その対比が強烈に印象に残ります。

"Homeward Bound"(早く家へ帰りたい)もいい曲ですね。ポールがツアーに出ていた時に、本当にホームシックにかかってしまって作った歌だそうです。

 

 "The Graduate"(邦題:卒業-オリジナル・サウンドトラック)

 

 サイモン&ガーファンクルにとって初となる全米1位の大ヒット・アルバムです。

"Mrs. Robinson"(ミセス・ロビンソン)のアコースティック・ギターの音処理には、正直ぶっ飛びました。低音弦のハンマリング・オンの時のフレットとのビビリ音がそのまま聞こえてくるなんて、初めてレコードで聴きましたね。ボーカルもコーラスも美しいし、文句なく名曲だと思います。

 

"Bookends"(邦題:ブックエンド)

 

上のアルバム「卒業」を追い落とす形で全米1位となったアルバムです。

"America"(アメリカ)という曲が収録されているのですが、非常に好きな曲です。「アメリカには自由を探しに来たんだ。でも、なんだか僕にはよくわからなくなってしまったんだ・・・」という、自由の国と言われるアメリカの、実際には苦悩と閉塞の日々を送る若者の心情が(明るい曲調の中で)淡々と歌われていて、心を打ちます。

 

"Bridge Over Troubled Water"(邦題:明日に架ける橋)

 

通算33週もの間、全米1位を保持した超大ヒットアルバムです。日本でもオリコン・チャートで7週連続1位を記録しました。

タイトル曲の「明日に架ける橋」は、もう何も言う言葉がない名曲中の名曲ですね。

しかしながら、私は "Boxer"(ボクサー)が彼らの曲の中では一番好きなんです。歌詞の内容もさることながら、後半部分のアレンジが素晴らしい。ボクサーにとってのリング=戦場をイメージさせるような効果音とか、「もう嫌だ、帰りたい」と言いながらもまだリングに立つボクサーというつらいテーマの歌詞なんだけれども一転明るい曲調に変わって迎えるエンディングとか、魂に響きまくりの名曲ですね。

 

かなり長くなってしまいましたが、まだサイモン&ガーファンクルの曲に触れたことのない方は、ぜひこれらのアルバムをお聞きいただければ、と思います。