70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

ブライアン・フェリーの美学、ここに極まる! ROXY MUSIC "More Than This" (1982)

収録アルバム "AVARON"


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今日ご紹介するのは、ロキシー・ミュージックの数あるアルバムの中でも最高傑作という呼び声の高い "AVALON" の収録曲、"More Than This" です。

 

ロキシー・ミュージックは、1971年にデビューしたイギリスのロック・バンドです。

そのサウンドは、「ロック」という枠には留まらず、ポップスであったり、ジャズであったり、プログレッシブ・ロックであったり、ニュー・ウェイブであったり、幅広く多彩なジャンルの音楽をミックスさせた独特なもので、その分野においては他の追随を許さない、唯一無二の存在であったと言ってもいいでしょう。

デビュー当初は、メンバーの奇才ブライアン・イーノの音楽性、思想といったものが色濃くバンドのサウンドにも反映されており、先鋭的・前衛的・耽美的といった形容詞がフィットする曲調が多かったのですが、1973年の2ndアルバムリリース後にブライアン・イーノはバンドを脱退します。それは、当然のごとくバンドの音楽性にも大きく影響し、徐々に前衛的な色合いは薄れていくのですが、耽美性、叙情性といった傾向は逆に更に強まっていくことになります。

1976年にバンドは一度解散するのですが、それを救ったのが、もう一人の奇才ブライアン・フェリーです。彼は1978年にバンドを再結成させ、己の美学を追及するために精力的に活動を再開させたのでした。

 

そんな流れの中で、1982年にリリースされた "AVALON" ですが、ケルト神話におけるアーサー王の物語に登場する、イギリスの伝説の島「アヴァロン」をモチーフにしたコンセプト・アルバムになっています。

アーサー王が戦で致命傷を負い、癒しを求めて最期の地として到達した「アヴァロン」、アルバムはそのイメージを忠実に再現しており、非常に滑らかな音処理、シンプルで美しいメロディ、ミディアム・テンポのリズム、ブライアン・フェリーの肩の力の抜けたボーカル、それらがすべて合わさり、アーサー王にとっての最後の楽園という世界観を見事なまでに創造しています。

 

そのアルバムからの "More Than This" ですが、アルバムのトップに位置する曲で、アーサー王の世界観への導入という意味では、最高に効果的な1曲です。

ほどよくエコーとディレイの効いた、滑るようなギターのイントロ、さざ波のように心に染み入るブライアン・フェリーのボーカルは、ここから始まる物語の世界へ何の抵抗も与えることなく、静かに聴く者を誘います。

 

"More Than This" は全英6位の大ヒットとなり、アルバム自体も全英1位を記録することになりました。

しかし残念なことに、このアルバムがロキシー・ミュージック最後の作品となり、1983年にバンドは再び解散してしまいます。

 

ブライアン・フェリーの美学の到達点、ロキシー・ミュージックの最高傑作を、ぜひ聴いてみていただけたら、と思います。

 

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