70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

音の錬金術師、トム・ショルツが放った渾身のデビュー作! BOSTON "More Than A Feeling" (1976)

収録アルバム "BOSTON"(邦題:幻想飛行)

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今回は、アメリカのプログレ・ハード・バンド "BOSTON" が1976年にリリースしたデビュー・アルバム "BOSTON"(邦題:幻想飛行) からトップを飾る "More Than A Feeling" をご紹介します。


アメリカのプロダクト・エンジニア、トム・ショルツが自宅アパートに構築した多重録音可能な音楽スタジオで作成した1本のデモ・テープからすべては始まりました。

このデモ・テープがレコード会社に認められ、ボストンとしてのデビュー・アルバム "BOSTON"がリリースされるのですが、デモ・テープではほとんどの楽器をショルツ自身で演奏していたので、急遽オーディションを行ってメンバーを集め、デモ・テープの演奏をメンバーの演奏で再現する形でレコーディングが行われました。

その音源をショルツが大量の時間をかけてミックス・ダウンして、ようやくデビュー・アルバムの完成に漕ぎ着けたわけですが、このアルバムは全米3位の大ヒットとなり、アメリカン・ロックに新しい風を吹き込んだ歴史的作品となりました。

 

今でこそレコーディングに際してシンセサイザー、リズム・ボックスなどの電子楽器の導入、トラック・ダウン時のコンピューターの導入は一般的ですが、ショルツの非常に強いこだわりから、このアルバムの制作にはシンセサイザー等の電子楽器、コンピューターなどの機器類は一切使われておらず、アルバム・ジャケットにも「No Synthesizers Used」「No Computers Used」としっかり刻印されています。
しかしながら、その音を聴いてみると、ギター、ボーカルなどが何重にも積み重ねられて非常に緻密で重厚なオーケストレーションを形成しており、膨大な時間と労力が費やされたことを物語っています。

 

実際にアルバムを聴いてみると、確かに重厚ではあるのですが重苦しくはなく、逆に軽快で爽快なアメリカン・ロックです。
メロディがポップでわかり易いことと、ボーカルの処理(メイン・ボーカルをしっかり聞かせて、ハイ・トーンのコーラスで爽やかさを演出)が功を奏しているのでしょう。

 

"More Than A Feeling" ですが、クリアなギターのアルペジオのフェード・インで始まり、ボーカルも抑え目に入ってきます。ギターのリフを挟んでサビに入ると、一気に重厚なギターのバッキング・ストロークで盛り上がりを見せ、ロング・トーンのボーカル/コーラスが実に気持ち良く響いてきます。

リピート後のサビからコーラスに引っ張られるようにギター・ソロが始まりますが、分厚いギター・サウンドが波のように押し寄せてきて、そしてまた波が引くと、静かなアルペジオが流れてきて・・・。

1曲の中での静と動のコントラストがよく考えられていて、聴く側を魅了しますね。


この後ボストンは、2年後に2ndアルバム "Don't Look Back" をリリースするのですが、次の3rdアルバムがリリースされるのは、実に8年後になります。さらに次の4thアルバムのリリースは、また8年後でした。

これもトム・ショルツの完璧主義がなせる業なのですが、レコード会社もよく我慢したものだと思います。

待たされるファンの方はたまったもんじゃないですけどね。

 

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