70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

淡い月の光は幻想の世界への誘い ~ CAMEL "Lunar Sea" (1976)



収録アルバム "Moon Madness"(邦題:月夜のファンタジア)

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今回は、イギリスの叙情派プログレッシブ・ロック・バンド "CAMEL" の4枚目のアルバム "Moon Madness"(邦題:月夜のファンタジア) からラストの1曲 "Lunar Sea" を紹介します。

キャメルは1973年にデビューし、今もなお活動を続ける、非常に息の長いバンドです。
デビュー当初は、アンディ・ラティマーの哀愁漂うメロディアスでエモーショナルなギター、ピーター・バーデンスの優雅で軽やかなキーボード、アンディ・ワードの精緻なドラムを特徴とし、数あるプログレッシブ・ロック・バンドの中でも、繊細で情緒的なサウンドとドラマティックな曲構成で「叙情派」としての確固たるポジションを築いたバンドです。

彼らは、デビュー後、2枚のアルバムを発表した後に、1975年にアメリカの作家、ポール・ギャリコの短編小説「スノーグース」にインスピレーションを受けて作成したコンセプト・アルバム "Snow Goose" をリリースし、大きな支持を得ることに成功しました。

そして、その後にリリースしたのが今回のアルバム "Moon Madness" です。

叙情派ロック・バンドの面目躍如たる完成度で、繊細で緻密で儚くも美しく、時に勇猛な、独自の幻想的な世界を創造しています。

アルバム・ジャケットもファンタジックなアート作品のようで、美しいですよね。

 

アルバムの最後の曲になる "Lunar Sea" ですが、その名のとおり、スペイシーなイメージを持つ曲です。

宇宙空間を連想させるようなシンセサイザーのフレーズのリピートの中、遥か彼方から来訪するようにドラムの5拍子のリズムがフェード・インしてきます。そして静寂を切り裂くギターの主旋律。宇宙空間に吹き荒れる嵐のようです。
徐々に嵐は収まり、曲調はミドル・テンポの4拍子に。月面をゆったり歩いているような、少しコミカルなフレーズのシンセサイザーのソロが始まります。
そして再び嵐の到来です。5拍子のドラムとハモンド・オルガンのバッキングに乗せて、空間を小隕石が乱れ飛ぶかのようなギター・ソロは、クールな中にも情熱がほとばしるような不思議な感覚です。
ギターのフレーズに耳を奪われがちですが、緊迫感を盛り上げるドラムの巧みなスティック・ワークも一聴の価値あり、です。
やがて嵐は去り、再び静寂の時間が宇宙に訪れるかのようにすべてのリズムがフェード・アウトし、シンセサイザーのフレーズだけがゆっくりと繰り返されながら、消えていきます。

 

この後キャメルは、1977年に5枚目のアルバム "Rain Dances"(邦題:雨のシルエット)、1978年に "Breathless"(邦題:ブレスレス~百億の夜と千億の夢~)をリリースします。どちらも、叙情派の基本路線を踏襲しつつ、フュージョン/クロスオーバー的なエッセンスも散りばめるなどして、他のバンドにはない、独自の世界観を見事なまでに築き上げています。

その後、メンバー・チェンジなどを繰り返しながら、次第にバンドはアンディ・ラティマーのソロ・プロジェクトの様相を呈していくのですが、昨年も来日してライブを行うなど、まだまだ現役で活躍中です。

 

ちなみに、かつてのプロレスラー/格闘家の前田日明の入場テーマ曲 "Captured"(キャプチュード)はキャメルの曲で、9枚目のアルバム "NUDE"(邦題:ヌード~Mr.Oの帰還~)に収められています。
彼のオリジナル・スープレックスにも「キャプチュード」の名付けられた技がありますね。

 

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