70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

Ride Like The Wind 【CHRISTOPHER CROSS】 (1980) 



収録アルバム "Christopher Cross"

 

 

1980年に日本でも大ヒットした、Christopher Crossの名曲、"Ride Like The Wind"です。

風の音とともに厳かに始まるイントロが、何かを予感させます。そこにドラムが加わり、ギター、ピアノがコードを歯切れよく刻み始め、軽快なロック・チューンが展開されます。クリストファー・クロスの透き通るようなハイトーン・ボイスは、実は犯罪者が南へ風のように逃亡するという詩と相まって、軽快な中にもピリッとした緊張感をもたらしています。そして、サビ後のスキャットのカッコイイこと!

1970年代後半から1980年代にかけて、"AOR"(Adult Oriented Rock)というジャンルの音楽が注目を集めました。直訳すると、「大人志向のロック」でしょうか。勢いが頼みの若いロックとは一味違い、例えば、爽やかな初夏の陽射しの中、海沿いの国道を車で走る時の爽快で上質の風のようなロックであったり、あるいは、都会の夜に高層マンションの上階からネオンの街を見下ろした時にかかっている癒しのバラードだったり・・・。TOTOボズ・スキャッグス、エアサプライ、ボビー・コールドウェル、そしてクリストファー・クロスなどの実力派ミュージシャン達が素晴らしい曲を奏で、大人な世代の人達が耳を傾けたものです。

時代的な背景としては、バブル前の高度経済成長期で経済的・精神的にゆとりのある若い大人達が増えて、それまでの若い頃とは違ったライフスタイルを追い求めて時間やお金を費やしていた時代だと言えるでしょう。

また、音楽的な背景としては、テクノロジーの発展によるシンセサイザーの普及、発達が要因としてあると思います。シンセサイザーは、1970年代前半にはアナログのものがレコーディングでは使われていたようですが、1970年代後半になると、デジタルのシンセサイザーが登場し、瞬く間に音楽業界に普及していったようです。デジタル・シンセサイザーの普及により、より複雑な、より多様な音色の生成が、より簡単に、より安価に実現できるようになったために、効果的かつ繊細なサウンドが"AOR"の様々なシーンの演出効果として用いられるようになり、素晴らしい曲達が生み出されてきたのではないか、と思います。

ちなみに、ですが、1970年代にY社から「CP70」「CP80」というエレクトリック・グランド・ピアノが発売されています。通常のピアノよりも電子的な煌びやかな響きで、通常のピアノの代替というよりは、むしろ独立した新しいひとつの楽器として、現代でも多くのミュージシャンに愛用されています。この楽器の登場も、"AOR"隆盛のひとつの要因ではないかと密かに考えております。

また改めて、"AOR"の名曲達も順次ご紹介していきたいと思います。